(目的)
第1条 この要領は、学童クラブ(以下「クラブ」という)の運営にあたり、指導上留意するべき必要事項を定めるものとする。
(クラブの基本的留意点)
第 2条 クラブは、保護者の就労や疾病等の理由により家庭において継続的に適切な保護に欠ける子どもを、保護者に代わって一定時間、組織的、継続的に保護 し、併せて健全育成を図っていくものであるので、指導にあたっては子どもの権利を尊重することを基本に以下の事項に十分留意して指導しなければならない。
一 暖かい環境づくり
クラブは、子どもにとって、下校時の一定時間、また長期休業中においては日中の大半の時間の生活の拠点である。したがって、できるだけ暖かい雰囲気をつく るよう配慮し、子どもが安心して落ちつける環境づくりをする。また、どの子どもに対しても常に公平な態度で接することを心がけ、受容的な態度で子どもの悩 みや欲求を聞くようにする。
二 ひとり一人の子どもの理解の上に立った、個別的、集団的指導
ひとり一人の子どもの発達状況、個性、家庭環境、学校生活の状況等を十分に把握するとともに、異年齢集団の特性も考慮して、個別的、集団的に指導を行う。
三 健康管理と安全の保持
子どもは、心身ともに発達過程にあり、健康管理や不慮の事故・災害に適切に対処する能力が十分でない。したがってクラブは、衛生・安全管理に配慮をすると ともに子どもの健康状態に十分注意を払う必要がある。そのためにクラブは、応急的医薬品を常備するとともに、保護者との速やかな連絡態勢の整備、及び医療 機関との連携を図り、怪我や事故、急病に対応できるようにしておく。また、子どもが安全に生活できるよう、日常的に遊具や危険箇所の点検を行う。
四 社会的適応性を高めるための援助
クラブは、異年齢の子どもたちが一定時間一緒に生活していくという特徴を活かして、子どもが社会に適応する能力を身につけることができるよう援助する。その際には、子どもたちの相互の関係に十分注意を払い、話し合いや集団遊びを通して信頼関係を築いていく必要がある。
五 自主的活動の助長と生活圏の拡大
子どもは、成長するに従って交友関係も深まり、遊び集団も拡大し、大人の制約から離れて行動することを望むようになる。したがって、子どもの自主性、責任 感、判断力を伸ばすような自主的活動ができる配慮をする。また、児童館内で運営している利点を生かし、一般利用の子どもと積極的に交流を図るとともに、館 外活動等を通して地域のより多くの子どもたちと交流できるように努める必要がある。
六 家庭・学校との連携
子どものことについて、保護者とのコミュニケーションを密にして、共通認識と相互理解のもとに指導をすすめる必要がある。そのために、日常的には連絡帳や通信を活用するとともに、必要に応じて、保護者会、個人面談を行なっていく。
また、放課後の子どもたちの生活の場であるクラブは、学校とも十分に連携を図っていく必要がある。そのためには、年間計画や通信の交換、懇談会の開催、相互の行事への参加等をすすめ、共通理解を築いていかねばならない。
(指導内容)
第3条 クラブの基本的指導内容は、以下のとおりとする。
一 安全指導
クラプヘの行き帰りは、子ども自身と保護者の責任において行なわれるものであるが、その経路については、保護者・学校と確認し安全指導を行なう。欠席の連 絡は必ず保護者から受けるようにするとともに無断欠席等については、適宜保護者や学校と連絡をとり子どもの安全を確認する。子どもの健康状態に不安のある 時も、保護者と連絡をとりながら適切な対応を行なっていく。
また、危険な遊びや遊具に注意し、健全な遊びの指導を行なっていく。さらに、交通安全の指導や災害訓練を通して不慮の事故や災害に適切に対処できるように指導していく。
二 遊びの指導
子どもは学校において、精神的、肉体的にある程度制約された状態にあるので、放課後は自由で活動的となるのが自然である。したがって、クラブでの生活の中心は、遊びであるので、その遊びを通して、子どもの成長発達を図るよう指導を工夫する必要がある。
三 生活指導
クラブでは、その生活を通して、家庭でなされる基本的生活の習慣の習得を援助するように指導する。それは、単に日課に従って行なうだけでなく、クラブの生活全般にわたって起こりうるさまざまな問題に関して臨機に適切な指導を行なっていく。
四 行事
行事は、クラブにおける生活を楽しく変化あるものにする。その過程で、子どもの自主性を引き出すとともに、創造することを通して子どもの発達を促していく。さらに、子ども同士のかかわり、指導員とのかかわりの中から、子ども集団の向上を図っていく。
また、児童館内で運営しているクラブの特徴を活かし、児童館行事の活用も積極的に行なう。
五 館外活動
屋外の遊び場を持たないクラブが多い中で、館外活動は、自然に親しみ広い場所でのびのび遊んだり、館内では知ることのできないことを経験できる機会であるので、定期的あるいは単発的に取り組んでいく。
六 外出
外出とは、指導員の引率のもとに館外に出ることではなく、子どもだけで、近くの公園等に行くことをいう。外出は、子どもの心身の発達や社会性を身につけて いくために役立つが、実施するにあたっては、子どもの自立の程度などを考慮し、保護者と協議の上、個別に対応していく必要がある。また、外出させる際に は、時間、場所、人数等を明確にするなど、指導員の適切な指導のもとに行なっていく。
七 学習機会の確保
クラブは、学校と同様 の教科内容を指導する場ではないので、日常的には、クラブで宿題をしたいという子どもに対して、きっかけを作るような声かけと場の保障に努めるものとす る。また、長期休業中には、日課の中に学習時間を組みこんで、子どもが学習に取り組めるように配慮する。
(指導計画)
第4条 各 クラブにおいては、クラブの役割を踏まえて、地域環境や施設条件などを考慮しながら、指導目標及び指導計画をたて、それに基づき年間指導計画を作成してい くものとする。計画作成にあたっては、ひとり一人の子どもの生活に根ざした視点を重視し子どもの個性を生かすことができるよう、柔軟性や創意に満ちたもの にしていく必要がある。また、年度途中においても、計画の実効性を保つよう適宜見直しを行なわなければならない。
(諸記録及び関係書類)
第 5条 子どもが入所してから退所するまでの記録を、系統的に整備することは、子どもの現在及び将来に起こりうる諸問題について的確な資料を与えるものであ る。したがって、記録及び関係書類への記入は、客観的立場から、慎重かつ正確に行なわなければならない。なお、入所にともなう記録及び関係書類は次のとお りである。
(1) 学童クラブ登録簿(要綱様式第5号)
(2) 児童台帳(要綱様式第10号)
(3) 育成日誌(要綱様式第11号)
附則
この要領は、平成10年4月1日より実施する。