平成21年9月14日
新宿区長
中山 弘子 様
新宿区子ども家庭部部長
伊藤 陽子 様
児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望
新宿区学童保育連絡協議会
会長 内田 優子
貴職におかれましては、平素より、子どもたちの健全育成ならびに連協の活動にご理解、ご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。
さて、平成22年度にむけ、新たに3児童館に指定管理者制度を導入するための選定準備が進み、また子ども家庭支援センターを併せ持った児童館への機能転換館が計画される等、新しい試み、新しい制度が導入されようとしている節目の時を迎えています。21年4月より指定管理者制度が導入された児童館、業務委託となった学童クラブなども事業開始より半年を迎えようとしています。
このように制度移行の激しい時期であるため、私たち児童館・学童クラブ利用者の保護者たちは、新しいものに対するいろいろな不安を抱えています。
つきましては、以下のような要望を提出させていただきますが、どうか私たちの心情をお汲みとりいただき、要望書の内容について是非ともご検討いただいたうえで、文書でご回答いただきますようお願い申し上げます。
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要 望
1.長期休業日(春季、夏季、冬季)における区内学童クラブの朝の利用時間を公営館も8時15分からに変更してください。
2.新宿区内の児童館、学童クラブにおける集団遊び等の伝承、再建を目指し、社会適応能力を高めるために必要な支援体制の構築をどのように進め、継続される予定か示してください。
3.社会福祉法人にも加わってもらうことで質の向上がはかれると考え、かねて要望してきましたが、今年の選定に向けてはどのような取り組みをされ結果はどうか報告してください。
4.新宿せいが学童クラブの待機児童への対策について、現状と今後の対応を説明願います。
5.業務委託を含め、民間事業者が運営する学童クラブへの運営費、補助金の改善策を示して下さい。特に、人件費に関わるものについては具体的な対応策を上げて下さい。
主旨説明
1.社会情勢の変化により、共働き世帯や両親の介護問題など、様々な事情により、学童クラブや放課後子どもひろば、保育園、幼稚園など区内の子育て支援サービスを活用する方が増加の一途をたどっています。
すでに学校内学童クラブや放課後子どもひろばを増やすなどの新たな取り組みも始まっていますが、まだまだ受け入れ態勢が不十分といえます。地域の中で、犯罪等が多発する状況などもあり、子どもたちが支援の目がある場所で安全な時間を過ごせる環境を保護者は望んでいます。すでに延長などの取り組みにより、利用終了時間については、おおむね保護者の理解と一致するところとなっている館も増えています。しかし、小学校の長期休業日における学童クラブの朝の利用時間については、9時からでは、共働き世帯にとっては、子ども一人の時間を持たせる、自宅の戸締りや火の始末などの心配事も重なり、安心して働くことができません。
民営学童クラブにおいては、延長等に柔軟に対応がされていますが、保育園など延長を実施している公営園があることを考え、公営学童クラブにおいても柔軟に対応してください。
新宿区学童クラブ条例では、一部の学童クラブについては、第2項(1)において日曜日および国民の祝日に関する法律に規定する休日の午前8時から午後7時までとされ、必要がある場合については区長裁量により、利用時間を変更することができると明記されています。これらの文言をいかし、長期休業中の扱いについて切実な要望に応えてください。
つきましては、社会動向を鑑み、ニーズの多様化に対応するために小学校の長期休業期間においては、ぜひ、通常小学生が学校に着く午前8時15分から利用できるように利用時間の早急な変更を望みます。
2.指定管理者制度の導入などにより、児童館、学童クラブの運営主体が多様化しております。そのため、子育て経験もなく、学校の現場学習程度しか子どもに関わっていない知識と経験の未熟な指導員も増え、育成にあたる経験豊富な中堅指導員が不十分な雇用環境のため、定着率が減少傾向にあると感じざるを得ません。若い指導員は、体力もあり、ドッジボールやサッカーなどの運動系の遊びに関しては子ども達の欲求を満たすことができますが、集団遊びというのはそれだけではないはずです。
平成10年制定の「学童クラブ指導要領」の中で、四 社会的適応性を高めるための援助 「・・・・・子どもたちの相互の関係に十分注意を払い、話し合いや集団遊びを通して信頼関係を築いていく必要がある。」と述べられています。
ここでいう集団遊びとは、ドッジボール程度ではないと考えます。指導要領が作成された10年前には、Sケンも含めた文字通り集団で組織的に遊ぶ集団遊びが普通に見られました。近年では、指導員の力量や得意、不得意によってあまり行なわれていない館も増えているように思われます。公営館ですら、集団遊びが伝承されていない状況も見られています。
要望に応えていただき、すでに集団遊びの研修交流会を全館の指導員を対象に始められたと聞きます。ありがたいです。異年齢の子どもたちがひとつの空間で集団遊びを通じて、お互いの信頼関係を築き、社会適応能力を高められるよう新宿区内の児童館、学童クラブにおいて、集団遊びの伝承および再建に取り組んでください。再建に当たっては、公営、民営館や学童クラブで指導員の力量による差が生じることのないよう、新宿区の経験ある指導員等と民間指導員が交流できる研修の場を頻繁に設け、早急に具体的な取り組みができるように望みます。また、それらの支援体制の構築をどのように進め、継続される予定か示してください。
3.民間の力も生かして切磋琢磨していくとの説明が繰り返されてきました。しかし、最初の3館の業務委託依頼何回も業者選定そしてプレゼンテーションが行われてきましたが、学童クラブを手がけてきた社会福祉法人はとうとう一度も姿すら見えないまま現在に至っています。
社会福祉法人が来てくれないのは何故か、条件が悪いのか、熱心さが足りないのか、何か原因があるはずです。今年の選定に向けてはどのような取り組みをされ、結果どうなったのか報告してほしいです。
4. 前回の懇談会では『何らかの対応を早急に検討する』との回答でしたが、動きが見えません。3年生の多くが学童に入れなかった今年度のようなことが毎年続くのではとの不安の声も多く、保護者は今後の動向に注目しています。どのような検討をされているのか、どのような可能性があるのか説明してください。
5. 前回の要望書でも問題にし、区からも『検討したい』との回答がありました。民間事業者への補助は毎年ほぼ横這いで、ボーナスどころか、定期昇級すらままならない状態であることは前回もお伝えしました。指導員が生活に不安を抱えたままで、子どもたちの安心できる居場所が作れるとは思えません。
本来、区が責任を持って行うべき業務を担ってもらうのですから、相応の処遇をすべきと考えます。これまで何度も『民間と切磋琢磨して』との言葉聞いてきましたが、土俵があまりにも違います。より具体的な策の実行を強く要望します。
以上