2007年9月21日 要望書とその回答

新宿区福祉部子とも家庭課との懇談会(9月21日・金・午後7時)において、連協からの要望書に担当課から回答をいただきました。要望書全文とその回答をまじえて以下に掲載します。

新宿区福祉部子ども家庭課
課長 吉村 晴美 様
要 望 書
平成19年9月21日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 片岡 宏子

新宿区役所におかれましては平素より新宿区の子育てにご配慮いただき、誠にありがとうございます。区内学童クラブ父母会より連絡協議会に寄せられた学童保育に関する要望です。ご一読のうえ、懇談会でご意見をお聞かせ願えればありがたく存じます。

●戸山学童クラブ父母会から:

・ 学童クラブの障害児受け入れ枠を3名とする基準について、これを要望・申し込みに応じて柔軟に対応してください。戸山学童クラブには現在3名(+1名)の 障害児がいますが、来年度さらに2名の入館が予測されます。その場合、現在の利用定員枠を広げ、希望者が入れるよう柔軟な運用にしてください。

・現在の障害児2名に対し1名の職員という配置を、障害児1名に対し1名の配置としてください。また加配の職員は11ヶ月勤務のアルバイトではなく有資格の非常勤か正規職員を充ててください。

(子ども家庭課からの回答)
障害児の利用定員枠については、障害児等利用要綱では「おおむね一学童クラブにつき3名まで」と規定しております。現在、利用希望者の状況に応じ、柔軟性を持って対応しているところですが、学童クラブ全体の運営から一定の上限を設ける必要があると考えています。
職員配置については、障害児等対応職員として、非常勤を最低1名配置しています。さらに、2名以上の利用がある場合には、学童クラブの状況に応じ臨時職員 の配置をしており、障害児等2名に対し1名の職員配置という配置基準ではないことをご理解いただきたい。障害児等のご利用が毎年増えている現状について は、重要な課題のひとつと認識しています。
●北新宿第一学童クラブ父母会から:

・長期休暇中の受け入れ開始時間を学校と同等の朝8時15分にしてください。

・預かり時間を夜7時まで延長してください。

(子ども家庭課からの回答)
現在、長期休業中は職員の出勤時間をずらして9時(必要な場合は8時45分)から受け入れております。これ以上の時間延長に対応するためには、さらに大幅なシフト勤務を組む必要がありますが、現行の職員数、手薄な時間帯ができてしまうため対応は難しい状況です。
通年の7時延長については、児童館は学童クラブだけでなく、子育て支援事業として、午前中幼児サークル等実施しており、やはり、職員体制が取れない状況があります。
職員定数は、区全体の中で抑制を求められており、児童指導業務という手法で委託時間延長需要に応えていきたいと考えています。
●信濃町学童クラブ父母会から:(21年度からの信濃町学童および四谷第六小学校内学童の業務委託構想に関して):

・構想案の前段階として

1)「業務委託構想」に関する説明会開催の案内が保護者に正確に周知されず、まともな説明会が有ったとは言い難いと思います。利用者の利便を考えた構想なら、区は構想に関して利用者が納得するような説明責任があると考えますが、いかがでしょうか?

(子ども家庭課からの回答)
説明責任を果たすことは重要です。そのため、できるだけ早い時期に説明したいと考え、9月8日に説明会を開催しましたが、周知の案内が不十分で、結果的に 参加者が少なかったことは、残念であり、大変申し訳なく思っています。そのため、本日の会場も当初の区役所から信濃町児童館に変更しました。また25日ま でがパブリックコメントの期間ですが、要望があれば父母会等に出向いて説明します。
2)区内の業務委託の学童で、スタッフが次々と辞めた事例が多 々有ると聞いていますが、改善されているのでしょうか?今後は決してこのような事は起こらないのでしょうか?業者をきちんと選定し、人事採用にまで区がき ちんと監視して善処して頂けるようお願いします。また、改善が見られた上での、今回の業務委託事業案なのでしょうか?

(子ども家庭課からの回答)
18年度までに4箇所で指導業務を委託しており、退職もしくは異動は各館であります。直営館でも異動・退職はありますが、昨年度の早稲田南町で、年度内 に、また同時期に複数名が退職した事例は、特に教訓とすべきものであったと考えています。今年度に向けては、委託料の増額及び雇用職員の待遇改善や本社ス タッフのフォロー体制の充実を要請しました。また、区担当者と事業者の打ち合わせの強化、委託実施児童館の館長や区職員の連絡会なども行っています。雇用 については事業を委託しているので区は介入できません。プロポーザル時に提案した内容(人員、資格等)は守るのが当然であると考えています。
3) 世の中の流れに併せず、新宿区は断固とした態度で学童を「公設公営」で運営して欲しいと考えます。民任せでは父母は安心して子どもを預けられません。学童 を業務委託する事の利点を区の観点から教えて下さい。利用者サイドからは、欠点ばかりが目について利点が見えて来ません。

(子ども家庭課からの回答)
事業者委託の利点は、雇用形態の多様化により多くのサービス(時間延長等)提供ができることです。また、時間内は必要な人員を配置する必要があるため、直営のように休暇等で人手が薄くなることがありません。
これからの公共サービスの担い手は「官」だけでなく、NPOや社会福祉法人、株式会社など多様なものであってよいと考えている。連協が担い手になることも可能です。
4) なぜ、四谷第六小内に学童を作るに至ったか教えて下さい。四六小周辺の夕方は人通りが途絶えるので、犯罪に巻き込まれた時に声を出しても、防犯ブザーを鳴 らしても誰も気づかないような立地です。これではとても独り帰りはさせられません。区は、立地条件などをきちんと検証した上で設置案に至っているのでしょ うか?定員オーバー対策と称して、ただ学童を増やせば良いというものでも無いと考えます。

(子ども家庭課からの回答)
信濃町学 童クラブ時のおよそ半数は四谷第六小学校利用児童です。あとの質問の新設の基準にも関係ありますが、できるだけ小学校数に対応した学童クラブ設置を目指し たいと考えており、児童館内の学童クラブが大規模になっている地域では、空き教室等があり、学校と調整がつけば小学校内に学童クラブを設置していきたい。 また、今後放課後子どもひろば事業が各小学校で展開されていく中で、連携して校庭等安全安心な場所で活動できると思います。
5)なぜ、新校である四谷小内に学童スペースを作らなかったのか教えて下さい。信濃町学童の定員がオーバーしているのは何年も前からの顕著な傾向なので、四谷小の設計段階から学童設置を考慮に入れる事も出来たはずと考えます。

(子ども家庭課からの回答)
設計段階で要望はありましたが、スペースの関係で難しいと判断しました。
需要についても、四谷小学校設計時点では、15年度本塩町28(定員30)、信濃町47(定員40)、16年度本塩町34、信濃町43で、大幅な超過とは なっていませんでした。また当時は、まだ学校内学童クラブの設置は、区としてはイレギュラーな考え方であったことも、判断の要因としてはあったと思いま す。
・構想案が現実となった場合

1)居場所事業とは混同しないで、有資格者の学童専任の指導員を学童数に併せて配備して頂けるようお願いします。

(子ども家庭課からの回答)
居場所事業というのは「放課後子どもひろば」のことだと思います。放課後ひろばは、学校施設を活用して子どもの自主的な遊びや学びを支援する事業です。学 童クラブは、放課後、家庭にかわる生活の場という機能がありますので、そこは大切にしていきます。生活現在富久小学校内や、戸山小学校内でも、学童クラブ 担当職員と放課後子どもひろば担当職員は分かれています。事業の中で連携することはありますが、役割は明確化されています。指導員の資格は、募集要項に入 れてあります。
2)おやつやお昼作りの献立は必ず子どもの成長を考えた物にし、食物アレルギーへの配慮をこれまで通り徹底して頂けるよう、また父母会からも意見を言えるよう、区が委託業者に提示して下さい。

(子ども家庭課からの回答)
現在委託している学童クラブでも保護者から事前に「現在行っているサービスを継続して欲しい」と要望が出され、事業者もそれに沿って運営しております。事業者選定の際にご意見をいただければ反映します。
3)メールによる緊急連絡の配信をこれまで通り継続して下さい。

(子ども家庭課からの回答)
継続します。
・構想案実現に向けて

1)業者の書類選考段階から、連協役員および信濃町父母会より複数の保護者を選考委員として投票権を与えて下さい。出来るだけ多くの利用者サイドの声に聞く耳を持たない限り、今後も同じような委託による問題が生じると考えます。

(子ども家庭課からの回答)
17年度委託(富久小学校内)及び19年度委託(西落合、百人町)の際は、利用者の意見を反映する必要があると考え、学童クラブ父母も選定委員になっていただきました。今後も同様の方針で考えています。
●新宿せいが学童クラブ父母会から:

・ 区は民間学童クラブへの補助金額を変更せず、これを維持するとの方針ですが、いずれの民間学童クラブも厳しい経営環境であると聞いています。この補助金額 は適切であり変える必要がないと判断するに至った経緯と、そう判断するためのどのような検証を行ったのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
補助金については、都の助成要綱に上乗せする金額を区として補助しています。19年度は障害児対応職員の補助金額を改定(増額)しました。
また、昨年度区立の児童館・学童クラブに防犯目的のカメラを設置した際には、民間学童に対する補助制度を設けて、同様な対応ができるよう配慮しました。
今後も情勢を見ながら助成金については精査していきたいと考えております。
●こども館から児童館への転換について:

・「こども家庭支援センター・児童館・学童クラブの方向性(概要)」(H19/8/22)によると、「こども館の名称は改め児童館に戻し、中学生以上も利用の対象としていく」との方針が示されていますが、この方針転換の背景と根拠を教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
第一に、児童館が、児童センター・児童館・こども館に分かれているのは、事業に違いがわかりにくく、また中高生の居場所の確保等を総合的に考えると児童館機能を持つ施設としては、利用年齢制限を設けることはふさわしくないと考え、考え方を変更しました。
こども館は小学校内で児童館事業を展開するにあたり、利用年齢を限定する必要があったため設けたものですが、個々の例で見ると、西新宿こども館は、小学校 が管理する施設ではありますが、実際は旧淀橋二中施設で、施設も広く、また他の事業で小学生以外も利用しているので、制限する理由がありません。早稲田南 こども館も小学校内ではありません。また22年度に移転予定の、高田馬場第一も幼稚園舎利用で導線が分かれており問題ないと判断しました。
ただし、早稲田南は狭いという課題はありますが、近隣に中高生スペースをもった榎町があるので、活発に遊びたい子ども・職員とのじっくり向き合うような交流を求めている子どもには榎町を勧めるなど、指導の範囲で対応可能と考えます。
●児童館および学童クラブ機能の業務委託方式について:

・榎町などで導入された民間業務委託では児童センター業務と学童クラブ業務の一括委託という方式をとっていましたが、西落合などでは学童クラブ業務のみを委託するという方式に変わりました。この方針転換の背景と根拠を教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
当初直接指導業務と相談やソーシャルワーク機能を分けて、それぞれ委託職員と区職員が担うという考え方をとりました。理論的整理としては、それでよかったのですが、運営していく中で、切り分けられない部分があると判断し、変更しました。
●業務委託事業の監査について:

・昨年度、民間業務を受託している早稲田南町こども館で職員の大量退職が発生しましたが、民間業務委託館に対して区としてどのような監査、指導を行っているのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
監査は監査事務局が担当しております。監査委員による監査と事務局職員が行う事務監査があります。本庁の事務監査は毎年実施されており、委託契約関係も対 象となっています。また、出先事業所はローテーションで毎年何館かに監査委員及び事務局職員が出向き行っています。問題があれば監査の講評の中で指摘を受 けます。委託館も区営であり、他の児童館と同じです。
担当課の委託事業者への指導としては、改善すべき内容があれば、事業責任者に対し行います。また日々の業務の履行については報告書により確認しています。
●学童クラブ新設の基準について:

・ 「新宿区第一次実行計画(素案)」によると学童クラブの新設が予定されています。今後も新宿区では学童クラブ需要が増加していくことは明らかだと思います が、区としてどのような需要予測に基づいて学童クラブの新設を計画したのか教えてください。特にファミリータイプマンションの建設予定など、地域的な需要 予測が配慮されているのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
新宿区は長い期間児童館内でのみ学童クラブを実施する方 針で、利用人数が多くなった場合は、クラブ室を拡張するという対応で、凌いできましたが、クラブ児にとっての家庭的な環境の確保及び児童館機能の確保両面 からみて、対応が難しい状況がうまれました。その対応として、小学校内学童の設置や、民間学童クラブの助成という手法で数を確保してきています。
まずは、小学校29校に対し、児童館21箇所プラス学校内3、民間3で27箇所、このギャップを埋めたいと考えています。
●5年目を迎える多様な学童保育のあり方への成果について:

・多様な運営形態に基づいた切磋琢磨が期待できるとして導入された学童クラブの民間業務委託ですが、導入から5年を迎えて新宿区の児童館・学童クラブ間でどのような切磋琢磨があり、どのような成果が得られたのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
まず、事業内容としては、利用時間の延長実施が大きな点ですが、その他の質の面のお尋ねだと思いますので、お答えします。
提案内容の中では、事業者により、人数の加配しているところもあります。
事業内容に対する保護者からの要望では、第一に現在の内容の継続性を求められており、事業者もそれに応えようとしていると思います。 その他にも、地域との連携、活動内容など提案の実現に努力されていると認識しています。
また、委託導入館では運営協議会を組織し、地域の人や保護者、利用者と意見交換・運営についての協議、アンケートによる毎年の評価など、ブラッシュアップしています。
指導員の人材としては、小学校や・幼稚園教諭、児童施設職員経験者で、子育ての都合などにより一度家庭にはいられた方、児童福祉とは別の仕事に転職後再度 子どもに関わる仕事につきたいという意欲をお持ちの方、教員志望の若い方など多様であり、多様な視点で子どもを見ていると考えています。
区職員 の実施する児童館・学童クラブと切磋琢磨していくには、お互いの評価を共有するツールがいりますが、これまでは、質の面で両者を比較するツールがありませ んでした。今年度から、委託館だけでなく、それ以外の館でも、利用者アンケートを実施する予定です。この結果を分析に今後のお互いに高めあう運営に結び付 けていきたいと考えています。
以上