福祉部子ども家庭課との懇談会の報告
新宿区学童保育連絡協議会
日時)2006年10月13日(水) 19:00〜21:00
場所)薬王寺児童館乳児室
出席)父母 14名、子ども家庭課 5名
1. 子ども家庭課 吉村課長 挨拶
2. 学童保育連絡協議会 三島事務局長 挨拶
3. 子ども家庭課参加職員紹介(敬称略:鈴木、高遠、古屋、百人町児童館館長 )
4. 学童保育連絡協議会役員紹介
5. 懇談・意見交換
<資料>
・連協要望書全文(連協HP参照 http://shinjuku-renkyo.seesaa.net/ )
以下、区から配布された資料をご希望の方は連協まで。
・H19年度学童クラブ利用予測数・クラブ室改修・利用基準見直し
・H19年度以降の百人町学童クラブの運営について
・H19年度以降の西落合学童クラブの運営について
1.要望書についての回答
要望①
子どもたちの居場所作りとしての全児童対策の拡充は、大事なことであるが、小学校内の全児童対策の居場所に、既存の学童クラブを無理に入れるようなやり方はとらないでいただきたい。
課 長)いわゆる全児童対策は放課後の居場所事業に学童クラブを吸収という形が一般的ではあるが、新宿区としてはそのような方向は考えていない。学童は異年齢 の子どもたちが過ごし、成長し合う大切な場ととらえている。学校内ということでは新宿区には富久があるが、他校で同様にできるかというと、余裕教室がない 学校が殆どであり、現実的ではない。
要望②
業務委託館の質の維持を業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかるこ と。今後の業者選定について企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOなど幅広い選択肢を実際に用意してほしい。委託が行われている館のソーシャル ワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、委託業者と定期協議などを通して館の運営に指導力を発揮してほしい。また安定した質が維持されるよう 区としてどう改善させるか踏み込んだ対応を。
課長)既に委託している館は児童館を含めての業務委託であるが、学童クラブ指導業務のみの委 託も可能と判断した。どの方法が良いのかのかは現時点ではわからない。区の職員と委託業者の指導員の連携に工夫も必要だろう。職員の業務のしやすさ、イ コール子どもたちの過ごしやすさとなっていくのだとも考える。これまでとは違った形でやらせていただきたいと思っている。
職員が次々に辞めてしまうことについて、保護者の不安があることは承知している。雇用の継続性が保たれるように業者とも連携を深め、積極的に指導していきたい。失敗は繰り返さないように努力したい。
要望③
学童クラブは単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への子どもたちの成長を支援する場でもある。子どもたちの意識変化に対応し、質の高い保育をめざす研究と意見交換の場を年1回程度連協と開いていただきたい。
課長)意見交換の場は必要と感じている。区からの呼びかけだけでなく、父母からも提案いただきたい。
2.配布資料について補足説明
・今秋の学校説明会にて学童についてのリーフレットを配布し、近隣の館長が説明に出向いた。
・来年も1000名を越える予測であり、これからも需要が増えるだろう。
・来年度も希望の学童にて受入れする予定ではあるが、大規模館については休息の場としての条件を整えるべく、必要に応じて対処していきたい。
・早稲田南は18年度、信濃町、北山伏、薬王寺は19年度、西落合は20年度中に改修する。具体的な日程は未定。予算の概要は来年1月にあり、決まり次第知らせする。
・「出席率75%以上の+1加算」を削除。新1年生が不利になる、との声が多かった現行の利用基準を見直した。(出席率が低い時のマイナスは変わらず)
・戸山小内、百人町、西落合は学童クラブ指導業務(戸山小内は校庭活用事業も)を民間業務委託し、選定に当たっては12月に公開プレゼンを行い、区民の意見を反映する。(詳細は資料参照)
3.質疑応答
・改修について
保)保護者からの要望は出せるのか?
保)過去に行われた事例では保護者の意見も集められ、反映されているようだ。
区)今回もその予定である。
保)具体的な日程は?あまりにも雑駁でつかみにくいが。
区)大きな建築の場合は1年前から設計し工事にも1、2年かけるが、耐震工事や改修程度では19年度中に設計も工事もやる、ということになる。予算概要が決まるのが年明けであり、現時点で具体的な日程はお伝えできない。
・放課後学校事業について
保)国が積極的な姿勢を見せているようだが、これを受け新宿区の動きは?要望書にもあるように、保護者としては”学童が吸収されるのではないか?”との不安が拭えない。
区)国が言っているのはあくまでも目標数値である。1000億の予算は大きいようにみえても、全国規模で考えれば一校あたりの予算はごくわずか。国が計画を出したら即実施、ということではない。
保)区議との懇談した際「勤労家庭以外への対処も必要。区長も同じ考えだ。」と聞いた。教育委員会と福祉部、どちらがイニシアチブを取るかで、学童の位置付けが変わってくるのが非常に不安だ。GOが出た場合はどうする?
区)学校施設を活用する、ということに関しては管轄ではないため何とも言えない。
保)できてみたら、同じ地域に学校内、児童館の二つ事業は不要という方向にいかないか?
区)富久の例もあるが、別の機能と考えている。
保)児童館内学童は独特のものであり、そこで培われたものは大切にしていくべきと考えている。保護者として児童館に関わる様になり、ますますその重要性を痛感している。もし学校内にできても、その旗振りを福祉部が奪うくらいの構えでいてほしい。
保)学童児の放課後の過ごし方についてノウハウがあるのは児童館や学童クラブだけだ。ここ数年は学校、教育委員会はPTAの力も借りて校庭開放事業などもやってはいるが、経験が浅い。文化として持っているものを、大切に。
保)児童館の持つ機能は重要だ。計画はないと聞いたが、議会レベルでは話も出ているので、考えていくべきだと思う。
保)保護者として不安なのは豊島区のような状態。一斉に、学童を学校に吸収していくというひどいやり方。
区) 施設としての学校は魅力的という意見も保護者から出ている。が、新宿区の学校は殆どが小規模であり、余裕が無い。児童は減っても、多様な授業をするために 新たな部屋を作っている。備蓄倉庫、PTA室への転用など区民からの様々な要望がある中、学童クラブを入れるのは大変なこと。
区)なぜ今耐震工事なのか?というと、児童館は学校に続き、第2次避難所になっている。高齢者など弱者のための避難所となっている。
・民間業務委託について
保) 早稲田南では職員3人が一気に辞めた。父母会では様々な話し合いを重ねたが、総意は「区にしっかりやってほしい」ということ。私たちは区が管轄する公的な 施設に預けているのであり、民間だろうが公営だろうが関係ない。一生懸命やってくれていた先生たちが、私たちに何も告げづに辞めてしまうという事態を分析 すると、やはり働く仕組みが整っていないのだろう。入手した資産状況をみると明らかだ。区から総額を決めて渡している以上、ワーカーズコープに限らず、 やっていけない。あの額では人件費は賄えないのではないか?子どもたちが安心して暮らせるような環境を整えて欲しい。3年経過しているにもかかわらず、な ぜ見直さないのか?適正な運営ができる委託費と考えているのか?区も承知しているはずだ。
区)潤沢だとは言わないが、必要経費を積算して出した額である。区が想定しているより、配置を厚くしていた分の影響はあるのかもしれない。常勤、非常勤とステップアップしていくことでということで定昇に準じた体系もできるし、多様な働き方もできると考えていた。
保)絶対に無理がある数字だ。早急に見直しすべき。一生懸命がんばる人に報いる額を。
区)区から参考金額を提示し、プローポーザル方式で選考している。毎回数社からの引き合いがあり、そんなに無理がある数字だとは思わない。
保)一般的に企業が役所の仕事を取るために、無理をすることはよくあることだ。利益云々は二の次的な発想もある。
保)金額算出に当たって、福祉部で裁量はあるのか?
区)必要な基準は示している。
保)言っていることはわかるが、導入から3年が経ち、当初の計画を見直す時期なのでは?業者に無理をさせた結果、皺寄せがくるのは子どものところだ。現実を見て欲しい。
保)人件費の算定基準は社福相当と聞いた。そもそも社福の給与水準自体が一般の民間企業とは違う。
保)西新宿、早稲田南で学習した、というが西落合ではそれを生かしてほしい。
保)切磋琢磨というが、職員のレベル維持についても区は真剣に考えるべき。経験を積めないような給与体系しか組めない委託費ではやっていけない。
区)プロポーザルの募集要項で、具体的な人件費についても提示させるようにしたい。運営後も積極的に監視していきたい。
保)西新宿。2年間で次々に職員がやめていき、3年目の今は父母が「何とかいてもらいたい」という切実な思いで職員に接している。委託の制度上、来年度の保障がないところは切なく感じる。
区)利用者から「悪くなった。」と言われると今後の事業が成り立たないので、必死に努力したい。
保)委託業者になぜ社福が来ないのか?区は分析しているか?
区)事業規模が小さく、また一部業務委託で区の職員が残るということもネックになっていると考える。
保)指導員の経験年数を限定するなど、仕様書レベルで区が求めてもいいのでは?
区)リーダー以外は配置条件として特に付けてはいない。
保)急に辞めるような事態は防げないのか?辞めないような努力を企業側に求めることも必要だ。
保)建築物などの工事は安く受けて出来上がりが悪ければ一定期間の入札禁止など厳しい措置もあるだろう。業者に対してこれと似たような対処は講じられないのか?
保)区は民間委託して終わりではなく、一緒に育てていくという観点でのぞむべきだ。任せっぱなしではだめだ。
保)意見交換について「保護者からも提案を」との発言があったが、区内の様々な館の指導員と保護者が一堂に会し、話す場があってもいいのでは?
区)職員間では委託の職員も含めて学習、情報交換の場を持っている。提案していただければ可能だ。
保)保護者としては児童館と学童クラブが培ってきた良いものを広げたいという思いが強くある。様々な方と意見交換することで高めあいたい。
区)提案があれば民間事業者への案内も可能である。
保)大切なのは”施設”ではなく”人”
・入退館情報の取扱い
区)退館情報は個人情報保護の観点から一方的には流せないが、退館届を渡す際に本人から父母会に連絡するよう促す、または本人の了承を得て口頭で報告する、ということで対処したい。これからも必要な情報を流す努力はしていきたい。
・各館からの要望
(戸山)障害児担当の職員配置
(信濃町)女子トイレ・クラブ室・エレベーターの改修、登館情報のメール配信
(上落合)クラブ室への電話設置
(高1)おもちゃの点検、修理、補充
区)早急に現状を確認し、対処していきたい。
以上(報告:岡本)