2006年9月29日 学童クラブの事業・計画に関する要望

新宿区福祉部
部長 石崎洋子 様

学童クラブの事業・計画に関する要望

平成18年9月29日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 片岡 宏子

日頃は子どもたちの健全育成にご尽力いただいていること感謝いたします。
19年度には、戸山小内学童クラブの新設や省我保育園併設の学童クラブの開設など、増館に当たる対策もとられていることは評価しています。しかし、現在で もかなり無理をして受け入れていただいている館も多いです。共働きの増加、子どもたちを取り巻く環境の悪化などに伴い学童クラブへの入所希望は今後も増加 していくと思われます。今後は学校等の施設を活用し、全児童対策を含めた検討もすすむでしょう。
その状況の中で学童クラブの事業・計画に関する以下のような要望を提出いたします。関係部署でご検討いただき、誠意ある回答をいただきますようお願い申し上げます。

要望

●子どもたちの居場所作りとしての全児童対策の拡充は、大事なことです。しかし、小学校内の全児童対策の居場所に、既存の学童クラブを無理に入れるようなやり方はとらないでください。

19年度から全児童対策を全部の小学校区で進めるとの厚労省、文科省の一致した方向が出されています。児童館を含めた子どもたちの居場所作りとしての全児童対策の拡充は、大事なことだと思います。
しかし、他の自治体でかなり行なわれている、新設された小学校の全児童対策の居場所の中に、既存の学童クラブを無理に入れるようなやり方はとらないでください。
他区や他の自治体では、全児童対策に無理に入れている例がかなり見られ、子どもの人権を無視したようなあり方も見られます。具体的な一つの例としておやつ のことがあります。一般の子たちと同じ場に入れられるため、おやつは一般の子たちが帰ったあとの午後5時すぎに希望者だけという形がほとんどです。ある区 では、「腹がへったら水をのめ」の言葉が子どもたちの間でかわされているそうです。
私たちは、おやつは低学年の子どもたちにとって必要な補食と考えています。低学年の子たちが集まる場です。中でも1年生は一度にたくさん食べられないので、昼の給食は食べきれないのに3時ごろにはおなかがすく子がかなりいます。食いだめのきく大人とは違うのです。
おやつ一つをとっても保育に欠けるからこそ学童クラブは別の事業として必要なのです。一緒にして一般の子たちに合わせられる悪平等な扱いでは、子どもたちの生活の場としての学童クラブが維持できません。それは親が安心して働けない、子育てできないことにつながります。

● 業務委託館の質の維持を業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。今後の業者選定について企業系業者に偏ることなく、社会福祉 法人、NPOなど幅広い選択肢を実際に用意してください。委託が行われている館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、委託業者 と定期協議などを通して館の運営に指導力を発揮してください。また安定した質が維持されるよう区としてどう改善させるか踏み込んだ対応をしてください。

民間業務委託が審議された区議会の委員会では、与野党問わず委託後の質を維持するのは行政の責任であるとの意見が出されました。その通りだと思います。
しかし企業系の業者が委託を受けた西新宿では、3月から引き継ぎの準備保育を行なった職員が全員やめてしまって、4月には全く別の職員でスタートするなどごたごたが続き、ほぼ2年間、安定しないトラブルが続く学童クラブになってしまいました。
早稲田南では信頼されていた指導員がソシアルワーカーとして残り、NPO職員の努力もあっていい児童館・学童クラブが運営されてきました。しかし、今年度 になってからほとんどの職員がほぼいっせいにやめる事態が起こっています。私たちが委託への不安を感じていたことがそのまま現れています。
職員 が次々に変わるような状態は正常ではないです。その状態を区としてどう改善させるのか踏み込んだ対応をしてください。受託業者へ払われたお金が職員の安定 雇用のために使われているかどうか、無理な運営ですぐに辞めてしまう、やめざるを得ない雇用条件となっていないかなどを監査するぐらいは必要なことだと考 えます。
19年度からの委託業者の選定に当たって、選定委員に保護者の代表も入れるように改善されたことについては評価しています。
しかし実際の選択肢が非常に少ないとすれば、せっかくの制度が生かされません。これまでの業務委託に社会福祉法人は一つも来ていません。幅広い選択肢を実 際に提供するのも行政の質の維持のための努力だと考えます。どうしても狭い選択肢しかない場合には委託を見送るとか、委託の仕方や内容を変えることも検討 されるべきだと考えます。
西落合や百人町では学童クラブ業務のみ委託され、児童館はこれまでどおり区の職員にという計画のようですが、これまでとは違う形態であるのは見直しと考えていいのですか。説明してほしいです。

●学童クラブは単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への子どもたちの成長を支援する場でもあります。子どもたちの意識変化に対応し、質の高い保育をめざす研究と意見交換の場を年1回程度連協と開いてください。

今年5月の要望の中で同様の要望を出させていただきました。区からの回答の中で、「父母の会、職員それぞれが研鑽を積む中で適宜意見交換の場を設定していくことも有効であると考えています。」と答えていただきました。
質についての意見交換・勉強会についても前向きに受け止めていただきありがとうございます。いろいろな形のものを導入し、切磋琢磨してレベルアップしてい くことが大事との区長のご発言はその通りだと受け止めています。私たち保護者もレベルアップして一緒に事業に取り組みたいと考えています。
新宿区内で児童館・こども館・学童クラブ事業にかかわるワーカーズコープ・デイケアセンター・省我会・エイビイシイ・フロンティアキッズクラブ・区福祉部・児童館指導員・保護者それぞれから、子育てにかける思いを出せる場を作れればと思います。
学童クラブ・児童館・子ども館に今求められる質と機能についてオープンな研究と意見交換の場を一緒に作るためにぜひ参加していただきたいです。
(以上)