新宿区長 中山弘子 様
新宿区福祉部 部長 石崎洋子 様
学童クラブの利用調整及び学童クラブ事業・計画に関する要望
平成18年4月21日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永聡美
新宿区福祉部子ども家庭課が、平成18年度から導入を計画していた、待機児もやむなしとの学童クラブの利用調整の実施について、私たち連協の意見・要望を 受け入れていただき、待機児童を出されなかったことは評価しています。また要望していた増館の一つとして戸塚第2小学校内に学童クラブを新設していただく ことになったことも評価しています。
ただ18年度については、当面の対策として乗り切ることができるようですが、共働きの増加、子どもたちを取り巻く環境の悪化などに伴い学童クラブへの入所希望は今後も増加していくと思われます。
その情勢の中で学童クラブの整備・充実は緊急の課題だと思われます。以下のような要望を提出いたしますので、関係の部署でご検討いただき、誠意ある回答をいただきますようお願い申し上げます。
要望
● 学童クラブの存在は単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への総決算の時代と捉え、発達・学習・自 他の認識を含めた成長を促す場であることを念頭においた、質の高い保育をめざしてください。そして、そのための研究と意見交換の場を連協もまじえて作って ください。
●新宿・学童クラブ行政の誇りは、待機児童を出さなかったことです、その政策を堅持してください。
●福祉部子 ども家庭課が平成18年度から実施されようとした「利用調整について」h17.12の施策は、矛盾のある学年調整指数見直しなど問題が多いので正式に撤回 してください。そして今後の運用に当たっては、特に新1年生の入所が不利になることのないよう配慮してください。
●業務委託館の質の維持 については、業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。業者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOな ど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われている館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮 してください。
●高田馬場第2学童クラブの定員オーバーの改善として戸塚第2小学校内に学童クラブを新設されますが、高2との連携での運用など不安も残っています。正式な提案をお願いします。
●学童クラブの定員を見直した館については、改修や運営の見直しに関して、父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築していくことを要望します。
●平成19年度から下落合に新設される民設民営のせいが学童クラブを中落合学童クラブの定員オーバー対策とすることには疑問があります。一般児との交流の保障や学童クラブ費の設定などについて区としてどのように指導されているのか教えてください。
●定員オーバー館の急増を放置せず、増館やいきすぎた選択制の見直しなどの具体化をしてください。
●個人情報保護の行き過ぎた解釈をあらため、父母会との連携をすすめてください。
要望の理由
● 学童クラブの存在は単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への総決算の時代と捉え、発達・学習・自 他の認識を含めた成長を促す場であることを念頭においた、質の高い保育をめざしてください。そのための研究と意見交換の場を連協もまじえて作ってくださ い。
親たちの子育て力の低下の中で、子どもたち一人一人のケアが必要な時代になっています。そのためには子どもたちの心の叫びをつかむアンテナ機能を持つことが求められています。
また新宿区の児童館では必ずと言っていいほど、問題をかかえた中高生が、自分の居場所を求めてきて、大人である指導員や小さい子たちとのふれあいの中でいやされ、育ちなおしている姿が見られます。
こんな時代だからこそそんなことも支援の場にもなっている児童館・学童クラブの機能が再評価されなければなりません。地域の子育て力を育てるために、今までの公設公営での経験を評価し受け継ぐべき内容は伝え合う努力を行政がすることが大事です。
その意味で、公設公営の職員、委託事業者、早稲田フロンティアキッズなどの独立事業者や連協なども含めた研究会を設け、児童館・学童クラブのあり方について交流しあい区長の言われる切磋琢磨を具体化することが大事だと考えますが、いかがでしょうか。
●待機児を出して来なかった新宿区の学童クラブ事業の堅持
新 宿区には現在22の公設学童クラブがあり、これらは基本的に児童館に併設されています。それぞれの学童クラブは施設のスペース状況に合わせて定員が定めら れています。しかし、ここ二十数年にわたって新宿区の学童クラブは、定員を超える申し込みをすべて受け入れてきました。
新宿区の学童クラブの歴史 の中で、長い間、待機児を出さなかったことは新宿区の誇るべき実績であり、新宿区の学童クラブが、子どもを安心して任せることができるものであることの証 でもありました。新宿区の児童行政がこれまで通り、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの安全を第一に考えていただき、待機児を出さない政策を堅持していだ くことを要望します。
●福祉部子ども家庭課が平成18年度から実施されようとした「利用調整について」h17.12の施策は、矛盾のある学年調整指数見直しなど問題が多いので正式に撤回してください。
私たちは利用調整を認める立場には立ちませんが、子ども家庭課の、18年度の「利用調整について」h17.12の施策では、ポイント制を採用、これに伴い学年調整指数を撤廃するとされました。
学 童クラブは、低学年ほど利用の必要性が高いのは当たり前のことです。これを撤廃することは、1年生でも待機児となるのはやむなしとの方向性を打ち出したも ので、私たち保護者は絶対に受け入れられません。実際の運用では、1年生を排除するような運用はしないと答えられています。
問題の多い「利用調整について」h17.12の施策は、正式に撤回していただくようお願いします。そして運用に当たっては、特に新1年生の入所が不利になることのないよう配慮してください。
● 業務委託館の質の維持については、業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。企業系の委託業者の問題点が出ていると思われます が、どう考えていますか。業者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOなど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われて いる館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮してください。
学童指導業務の民間業務委託が導 入されるときに、連協としては質の低下につながるのではないかと考え、慎重に検討してもらうよう陳情書として提出しました。その陳情を検討した区議会の委 員会では与野党問わず、「保護者が心配している質の低下について、質を維持していくのは行政の責任だ」と発言していただきました。しかし現実はどうでしょ う、たとえば西新宿ではこの2年間に9人も担当職員が辞める事態になっています。安心してあずけられる状態になっていません。業者任せにせず、行政として 責任を持って維持改善をはかってください。
早稲田南や榎町を委託されているワーカーズコープでは、ほとんどそのようなことはなく、企業系の委託業者の問題点が出ていると思われますが、どう考えていますか。
業 者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOなど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われている館のソーシャルワーカー は児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮してください。ソーシャルワーカーのかかわり方が各館によって違いがありますので、明 確な指針の提示と運営をお願いします。
●高田馬場第2学童クラブの定員オーバーの改善として戸塚第2小学校内に学童クラブを新設されますが、高2との連携での運用など不安も残っています。正式な提案をお願いします。
戸 塚第2小学校内学童の職員体制や戸塚第2小学校内での学童クラブ児が利用できる範囲、学童クラブ行事スケジュール、土曜日の高2学童との合同保育など父母 の間ではどうなっていくのか不安があります。戸塚第2小学校内学童発足にあたっては、父母会との話し合いをしながら進めてください。
●学童クラブの定員を見直した館については、改修や運営の見直しに関して、父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築していくことを要望します。
すでに改修が始まっている館やこれからの館もあると思われますが、かなり無理な見直しをされている部分もありますので、もっと父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築してください。
● 平成19年度から下落合に新設される民設民営のせいが学童クラブを中落合学童クラブの定員オーバー対策とすることには疑問があります。他の館で行なわれて いるような一般児との交流の保障や学童クラブ費の設定などについて区としてどのように把握・指導されているのか教えてください。
せいが学童クラ ブを運営されるせいが会については、子どもたちの成長をどう進めていくかのきちんとした理念を持った社会福祉法人だと理解しています。ただそのことと、中 落合学童クラブの定員オーバー対策としてせいが学童クラブをとすることには疑問があります。他の館で行なわれているような一般児との交流の保障や学童クラ ブ費の設定などについて区としてどのように把握・指導されているのか教えてください。
早稲田フロンティアキッズ学童クラブが今の学童クラブの代わりになれるものではないと、区議会の委員会でも発言があったように、代わりにならないものへ行くことを行政がすすめて、同じような混乱が起こらないようにしてほしいと考えています。
●定員オーバー館の急増を放置せず、増館やいきすぎた選択制の見直しなどの具体化をしてください。
昨 年も同様の要望をさせていただきました。今年4月の在籍数と比べてもらえば分かりますが、昨年4月が922人、しかも例年の予想をさらに上回り6月時点で は960人をこえる状態になりました。今年の登録数はついに1082人になりました。マンション建設が進んでいる地域も増えており、さらに増館が必要で す。
また全体として学童クラブ間の数のアンバランスも拡大しています。それは小学校への選択制の導入によって引き起こされていると思われます。小学校の説明資料に学童クラブの案内も入れてもらい、バランスの取れた人員になるような選択肢も提案してください。
今後とも学童児は増えていくと思われますので、増館や選択制の見直しなど総合的な対策を今立てていく必要があると思います。教育委員会と連携を深め対策を講じてください。
●個人情報保護の行き過ぎた解釈をあらため、父母会との連携をすすめてください。
昨年ほどの過剰な反応は今のところ見られませんが一部の館では、中途での退館者名を教えてくれなかったりしています。これは個人情報保護の行き過ぎた解釈だと思います。
退 館者には父母会費の返却など父母会としての手続きも必要です。父母会と館はさまざまな行事での協力関係にあります。その関係は子どもたちの成長する環境を 作っていくために大事なものだと考えています。もっと発展させるため、ギクシャクした関係にならないように運営いただき、父母会との連携をすすめてくださ い。
(以上)