都研究集会  第8分科会「子どもたちの放課後の生活を考える」の報告

H27年7月5日日曜日 東京の学童保育都研究集会

第8分科会「子どもたちの放課後の生活を考える」の報告

 

新宿連協 渡辺仁子

※「メモ」は講義の内容ではなく渡辺のメモです。

 

講師 下浦忠治 (品川区指導員→スマイルスクール指導員→6年前から児童相談所

学童に関する執筆 秋からの放課後児童支援員認定研修講師)

 

  • 品川区の事情

 

2005年4月から、学童クラブ全面廃止→全児童対策事業スマイルスクールへ。(メモ:新宿区でいうひろば)

品川区連協は猛反対(署名、学習会、ビラ配りなど。→父母会の開催やビラ配りを禁止。)

区は保護者が集まることが怖い。

 

メモ:昨年新宿連協総会で講演してもらった江戸川区も同じ時期に全児童対策事業へ

 

  • 大学の講義で

 

学童に通ったことのある学生に聞くと

→①とても楽しかった

②いやなところ。思い出したくもない。辛かったけど親が「うちは働いているから、心配だから学童にいってて」というから我慢していっていた。

小学生は事情を理解するので、我慢していく子どももいる。

メモ:横浜ではひろばがいやで子どもが学童に行かず、母親の職場に行こうとして迷子になり警察に補導されたケースがある。

 

メモ:学童の先生は何をするひと?

 

・授業のあとの学生の感想

学童職員は安全にけがをしないように管理する人かと思っていた。

 

・授業では、「学童指導員は子どもの心に寄り添い、子どもが何を思い考えているのか、把握しながら、その子が安心して生活できるように、成長できるように、支援していく専門職」であるという話をする。目から鱗だったという感想もある。

どういう学童であってほしい?

保護者の思いをあきらめないで伝えることが大事。

 

3、他県

 

(1)埼玉

学童は充実。ほとんどのところで6年生まで。もともと放課後校庭であそべる環境があった。だから全児童対策の声があがらなかった。そして学童の丁寧な充実がすすめられていった。

(メモ:埼玉連協の意見をとりいれ学童の基準などを一緒に作っている報告あり。一人親の知人は埼玉に引っ越した。)

 

(2)横浜

1992年 学童をひろばと一体運営にした。

独立した学童は保護者が運営している。利用料は1万8千円などと高いがつぶれたところは一つもない。17時から学童?居残りみたいで子どもが嫌がる。

ひろばでは一人一人にあった対応がされないので、子どもが行きたくないつまらないといい、だんだん行かなくなる。学童には安心して楽しく通う。

 

4、全児童対策事業(ひろば)と学童の違い

 

  • 全児童対策事業(ひろば)

自由な遊びと学びの場。保育はない。預かるところではない。来たいときにきて帰りたいときに帰るところ。安全管理が主。

学校内なので、学校後一番近い・車は来ない・校庭は広い・料金が安い、など親としては安心で便利。イベント・○○教室もあったりする。

 

  • 学童クラブ

留守宅家庭の家庭のかわり。毎日「ただいま」と帰る場所(児童館やひろばは「こんにちは」と行く場所)。自分のことをわかっている人が待っていてくれる場所。毎日同じ仲間と過ごす。職員と友達と密な信頼関係を築くことができる。職員は一人一人の子どもの様子や家庭の事情を把握して、一人一人の気持ちに寄り添って対応する。いやなことがあったら、行かないではなくて、「明日も一緒に遊ぼうね」というなかで、人間関係も育まれていく。社会で生きていく力が育まれていく。いやな気持も受け止めてもらえる。自分が自分でいられる場所。自分の思いを吐き出せる人間関係。困ったり悩んだりしても、楽しいことを伝えたいときも、家にいない保護者のかわりに子どもの話をその場で聞いてくれる人がいる。

安全管理は当たり前。そのうえで子ども一人一人に対応する。異年齢も考慮した集団活動の支援もする。

 

(メモ:それができるために一つの支援の単位40名以下の国の基準があるが新宿は定員オーバーが16/27。文教区は学童を増設しているが新宿は学童を増設せずひろばで対応。時間延長ひろば・学童機能付きひろば)

(メモ:学童は児童福祉法に位置付けられている。昨年、国が学童の設備運営に関する基準を作った。今年4月に運営指針ができた。全国連協も委員として参加。学童は国が今年秋から認定資格研修をする。ひろばは基準がないので、自治体の好きなようにやる。学童の保育の質は保てない。)

 

  • 習い事や塾

学童待機の方で、または学童にいれなくても習い事や塾で予定をうめるという方もいる。

習い事や塾に預かり機能を付加して学童のかわりとしているところもある。ここにきたら英語だけしか話せない、というところもある。

子どもは遊ぶなかで社会を学んでいく。

習い事や塾は、自分から考えてやるのではなく、先生がこうやってごらん、と指導されたことをやる。指示通りやる。講師を呼んでイベントをするというのも似たようなもの。

遊びは、自分でいろいろな気持が揺れ動きながら、自分で考えてやる。誘ったらどう思うかな、誘われたけどできるかな、子どもどうし名前を呼び合って関わりあう体験。ただ座って先生の言うこと聞くだけでは、子どもの育ちとしてはどうなのか。

 

5、学童とひろばの一体化の問題点

 

品川では、学童が廃止されてどうなったかというと、学童で丁寧に築いてきたことがすべてなくされていった。

(メモ:江戸川も同様。一体化された指導員は子どもたちに十分な対応ができないと悩んでいる。新宿区の機能拡充ひろばも同様。)

 

2003年 児童福祉法改定で、「すべての子どもの健全育成の支援」

・一体化の問題の本当の理由は財政問題。職員削減。

・少子化→すべての子どもたち。まとめてしまおう。小学生には変わりない。

家に帰りたいときに帰れば親がいる子どもと、日中親がいない子どもを同じ対応にすることが不公平なのでは?

(メモ:おなかがすいたら家でおやつを食べられる子と保護者不在でひろばで過ごす子に、おやつなしという対応。公平?)。

 

すべての子どもたちに学童のような対応ができならいいけど、現状難しい。すべての子どもたちになると、学童の質は保てず全児童対策の安全管理が主の対応になってしまう。

(メモ:いい学童を見ているお子さんは、子どもが「お母さん、学童楽しそうだから行きたい。仕事して~」というケースも。)

 

行政は、区民の理解を得るために、「分け隔てなく」「すべての子どもたち」という。

しかし、利用した保護者は嘘だとわかった。

十分な生活の場が確保できない。おやつは廃止。教室をたくさん使えます→はじめてみたらそんなことはない。静養スペースを作ります→ない。常勤職員を非常勤に。連絡帳保護者会個人面談の廃止。

父母会が作りにくいん環境→父母会消滅→改善ができない。意見が言えない。

 

6、今の国の動き

 

「5年間で学童30万人分増やす。」

「放課後子ども総合プラン」厚労省と文科省協力して、学校内や幼稚園の空き教室や、放課後利用しない教室を利用し、全児童対象の事業と学童クラブの運営を推進。

(メモ:教育委員会と福祉部(新宿では子ども家庭部)が協力して進めなさい。)

 

厚労省は学童とひろばの一体運営はよくない、毎日帰ってくる生活の場は必要、とわかってきた。

行政向けのQandAにも、学童は学童の基準で開設しないといけないという内容の回答がある。

(メモ:国は一体化を進めているという解釈??)

講師の下浦忠治さんは厚労省委託の研究の委員になっている。今後データや考察を国に挙げていく。

 

★まとめ★

ひろばと学童は目的の異なる事業。そもそも一緒にすることに無理がある。親は、自分が仕事している間、子どもがどんな時間を過ごしているのか、心配なのでは?

子どもたちの気持ちや豊かな育ちという視点で、何が問題なのかをよく見て、保護者の思いを伝えていくことが大事!

 

以上、こんなお話を聞いてきました。