2005年8月19日 要望書

新宿区福祉部
部長 布施 一郎 殿
新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永 聡美
平成17年8月19日

要  望  書

貴職におかれましては、日頃から新宿区の学童保育に対し、格段のご配慮をいただき、誠にありがとうございます。
また3月の要望書で私たちからお願いした、学童クラブでの「出欠の確認方法」「登館遅れへの対応」「出欠の確実な把握・問題意識」について、早速ご検討い ただき、安全確保に関する統一マニュアルを作成していただきました。各館で検討され7月から具体化され、子どもたちの生活がより安全になりましたこと感謝 いたします。
さて、私たち新宿区学童保育連絡協議会は、毎月、学童クラブ児童の保護者と会合を持ち、各種の意見交換を行っております。その中で挙 げられた、新宿区の学童クラブ事業に関するいくつかの問題点を、この度、要望としてまとめさせていただきました。以下をご一読の上、部内でご検討、ご対処 いただけますよう、お願い申し上げます。

①定員オーバー館の急増を放置せず、増館などの具体化をしてください。
今 年4月の在籍数を見てもらえば分かりますが、定員オーバー館が急増しています。昨年の9館→12館へ増え、ついにトータルの定員905人をオーバーする 922人までになっています。しかも例年の予想をさらに上回り6月時点では960人をこえる状態になっています。また全体として学童クラブ間の数のアンバ ランスも拡大しています。それは小学校への選択性の導入によって引き起こされている部分もあると思われます。
今後とも学童児は増えていくと思われますので、さらにオーバー館は今後も増えていくでしょう。総合的な対策を今立てていく必要があると思います。

その中で、ずっと定員オーバー館であった富久学童クラブは定員オーバーではなくなりました。それはこの4月から富久小内に公設民営の学童クラブが増えた影響です。
逆に高田馬場第二学童クラブ(略称高二)は100人近い状態で一つの学童クラブとして維持することも無理な状態に近いです。
小学校のクラス担任の先生は、40人以下の決められた子どもたちを相手にすればいいです。しかも休み時間以外は、教室という狭い枠内にいつもいます。
しかし学童クラブの指導員は違います。学童クラブ児は、そこで放課後の生活をしているわけですから、常にあちこち移動しています。遊戯室で遊ぶ、図書室で本を読む、屋上でローラースケートや1輪車をするなど自由にできることが大事だと思います。
そのため指導員は何人いても全体の様子を見ておく、知っておく必要がありますから、苦しい状態です。さらに安全問題とあわせてばらばらの帰宅時間の管理などの業務は増えていて、その点からも全体の規模で適正化を図る必要があるのです。
区 では高二のオーバー館対策として、民設民営の学童クラブを2月末に公募し、唯一応募したフロンティアキッズを採用し、助成を始めました。しかし、登録児童 の12名も高2地域の児童ではなく、実際の利用は、ほとんどない状況が明らかになっています。結果としては、高2のオーバー館対策とはなりえなかったこと は明らかです。
学童保育の民間業務委託の導入にあたり、連協として出した陳情書についての区議会の委員会の中で、与野党問わずに多くの議員の方か ら、「業務委託になっても区民が心配しないように、質を維持するのは行政の責任だ」、との発言がありましたが、民設民営の学童クラブであっても、区が助成 をしている限り、質の維持・向上については行政が責任を持つべきであり、仮に質が維持できない場合は、内容を検討し、質を維持・向上させる対策を早急に打 ち出すべきではないでしょうか。
高二の近くには、区が所有していて今後転用できる可能性のある土地もあると思われます。
このままでは学童クラブとしての機能が失われかねない事態になっているため、改善への取り組みが必要です。各館での子どもたちの実態をつかんでもらい、定員オーバー館の急増を放置せず、増館・分館などの具体化をしてください。
《要望事項》
・増館・分館を視野に入れた対策の具体化を要望します。
・遊ぶ場や生活の場の確保のための具体策の検討を要望します。
*屋上があっても遊び場として活用されていない館もあるようです、調査検討してください。
*おやつを食べる場所の緊急避難としてことぶき館を活用させてもらうなど具体化と改善を館に任せるのではなく福祉部として取り組んでください。

②土曜日、学校の休日、および長期休暇中(特に夏休み)の学童クラブの開始時間を、8時15分にしてください。
ある館では、春・夏・冬の学校がお休みの時期に、学童クラブが開く前に親が出勤する家庭の子どもたちの為の「早朝利用」活動を行っています。
9時 (実際には8:45に職員はいる)からの受け入れに対し、親が子どもより早く家を出る家庭では、子ども(特に1年生)が自分で鍵をかけて出て行く事を心配 している保護者も多く、たとえそれができても子どもが9時を目安に出られない、公園やガードレールの辺りで開くのを待っていたりと、何かと安全面での不安 が多いのです。
8時からの児童館(学童クラブ室ではない)を利用するために、区に団体登録をして館の鍵をもらえるようにし、学童クラブの父母のボランティアの人が毎朝交代で館を開け子ども達を受け入れ、8:45に児童館職員に引き渡します。
その館の保護者は、以下のように言っています。
「今 年もなんとか30日分の担当欄が埋まりましたが、ボランティアなどできない父母が多い年には、この活動そのものが成り立たなくなるかもしれません。そもそ も子どもが夏休み中だからといって親の就業時間が変わるわけでもないし、子育て支援の看板を立てる区が考えてほしいです」と。  

新宿区が策定した「次世代育成支援計画」では、
目標1子どもの生きる力と豊かな心を育てますの中で、重点項目として、子どもたちの遊び場・居場所の充実があげられ、その2番目に児童館の充実が上げられています。
具体的には、「少子化の進行や学校五日制の開始、共働きの増加、核家族化など、社会状況及び子どもや家庭の状況の変化に伴い、児童館に期待される役割も、子どもたちの仲間作りや豊かな遊びの提供にとどまらず、子育て支援や地域交流の場としての役割も加わってきました。
また、開館日や利用時間も拡大してきました。現在、児童館は、児童指導の専門職員が配置され、地域の子どもの居場所・乳幼児親子のつどいの場・身近な相談の場として多くの子どもと保護者に親しまれ、利用されています。
このように、乳幼児から18 歳未満を対象とした施設である児童館は、地域の子どもたちの成長の流れを見守ることができる重要な拠点となっています。」と述べられています。

目標3 子育てと仕事の両立がしやすい環境づくりを進めますの中で、重点項目として、1 多様な保育サービスの展開があげられ、その2番目に学童クラブの充実が上げられています。
具 体的には、「児童館併設の学童クラブには、次のような利点があります。① 遊び場や体験活動の場として児童館を利用できる。② 学童クラブ利用児童以外との日常的な交流が図れる。③ 学童クラブを終了した4 年生以降(障害児童の場合は中学生1 年生以降)も子どもにとって慣れた場所である児童館で過ごせる。」と上げられています。子ども達の居場所として大事にしてほしい場です。
公設公営の館でも早番・遅番での運用などで、8時15分〜空けることは可能ではないのでしょうか?休み中も学校と同じ時間に学童クラブが始まるべきだと考えます。
《要望事項》
子どもたちの遊び場・居場所の充実としての児童館の充実からも、子育てと仕事の両立がしやすい環境づくりからも、土曜日、学校の休日、および長期休暇中(特に夏休み)の学童クラブの開始時間を、8時15分にしてください。

③児童館・学童クラブの充実のために不可欠な、連絡先などの個人情報を得るための父母会活動への理解と協働の方法についてのマニュアル作成に協力してください。
個人情報保護法をめぐっては、法律施行直後ということもあり、各館と各父母会の間でどのように個人情報集めを連絡体制を作ったらいいのか苦労されたところが多くありました。
福祉部でも配慮いただき、各児童館への通達として、父母会が作成した個人情報提供依頼書の配布などには協力するよう知らせていただきました。
同じような混乱を避け、各館での良好な協力関係のために、連協と子ども家庭課の間で協働の方法についてのマニュアルを作成したいと思います。
今年中の具体化をめざし、話し合いを始めてください。
《要望事項》
児童館・学童クラブの充実のために不可欠な、連絡先などの個人情報を得るための父母会活動への理解と協働の方法についてのマニュアル作成に協力してください。

(以上)