2010年10月14日 新宿区への要望書

平成22年10月 日

新宿区長
中山 弘子 様

新宿区子ども家庭部部長
伊藤 陽子 様

 

児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望(案)

新宿区学童保育連絡協議会
会長  内田 優子

 

貴職におかれましては、平素より、子どもたちの健全育成ならびに連協の活動にご理解、ご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。

さて、全児童対策である放課後子ども広場の区内全域への拡充、子ども家庭支援センターを併せ持った児童館の運営等、多様なニーズや運営形態に加え、新しい制度と新しい機能が融合しながら子ども達の放課後が支援されています。

つきましては、以下のような要望を提出させていただきますが、どうか私たちの心情をお汲みとりいただき、要望書の内容について是非ともご検討いただいたうえで、文書でご回答いただきますようお願い申し上げます。

 

要 望

1.外遊びの取り組みや集団遊びの伝承も継続し学童クラブの質の向上を図ってください。
2.新宿区内の児童館、学童クラブにおける今後の指定管理者制度や業務委託の導入をどのように進め、多くの事業主体特に社会福祉法人が参入できるようどう取り組むかについて、区の考えを示してください。
3.新宿せいが学童クラブの待機児童への対策について、現状と今後の対応を説明してください。
4.各館のおやつのあり方を再検討してください。
5.児童館、学童クラブの運営に関わっている指導員と連協との懇談の場を設けてください。

 

主旨説明

1.社会情勢の変化により、共働き世帯や両親の介護問題など、様々な事情により、学童クラブや放課後子どもひろば、保育園、幼稚園など区内の子育て支援サービスを活用する方が増加の一途をたどっています。すでに学校内学童クラブや放課後子どもひろばを増やすなどの新たな取り組みも始まり、子ども達もその日の予定や友達との関わりの中で利用するサービスを選択しているようです。

とくに室内での遊びだけでなく、天候のいい日などは、室外で思いっきり身体を動かし、友達と運動したい、遊びたいなどの気持ちから、放課後子ども広場などを活用するケースも増加しているようです。このように外遊びに対する子ども達のニーズに応えるため、学童クラブとしても室内遊びだけでなく、室外遊びができるよう、公園遊びを定期的にとり入れたり、放課後子ども広場に集団で行くなど子ども達の欲求を満たす選択肢を多岐にわたって提供できるような仕組みを実現できるよう各学童クラブで工夫してください。とりわけ、運動スペースが狭く、利用人数が多い、思いっきり身体を動かし遊ぶことができない環境にある館では、子ども達の成長にとって特に大切です。早急な実現を望みます。

集団遊びの大切さについては十分ご理解いただいていると思いますが、集団遊びができる指導員が各館を巡回指導し、児童も指導員も一緒に遊ぶ中でしか伝承されないことも明白です。具体的な計画を明らかにしてください。

 

2.指定管理者制度などの導入により、児童館、学童クラブの運営主体が多様化しております。指定管理者制度や業務委託の導入の目的は、多様な事業主体の参入により、それまでの児童館、学童クラブ運営をより活性化させ、多様なる事業者の切磋琢磨により、質の向上を図ることにあると理解しています。
しかしながら、各館の父母が知らない間に急に指定管理者制度や業務委託の方向性が示され、業者の情報も少ないまま、選定に当たらなければならないため、父母からは切実な悲鳴が挙がっています。また、当初から懸念されていた、参入業者の多様化は見られず、最終的にプロポーザルに参加する業者は、3社程度しかおらず、すでに区内の児童館や学童クラブを運営しているところが多く、選択肢が非常に少ない、その業者を選択してしまうとすでに運営しているところから質の高い職員が異動してしまうのではないかといったなどの問題も挙げられます。さらに、株式会社などの営利企業の参入が多く、独自の理念を掲げて運営されてきた社会福祉法人などの参入が見られないといった問題点も指摘されています。

今後につきましては、計画に基づき、何年度にこの館を移行する等の情報をできるだけ早い段階でご提示頂き、父母会などの組織として対策が講じられるようにしていただきたいものです。また、多様な業者が参入できる対策をどのように講じているのか教えてください。

 

3.これまでの要望書で上げ続けている問題です。平成22年度についても3年生だけでなく、2年生でも待機児となる事態となりました。

前回の回答では『待機児童は中落合学童クラブか放課後子どもひろばを利用して欲しい』旨の記載がありましたが、懇談会の場にて「ひろばと学童クラブの役割は全く違うので、代替にはなり得ない」ことを確認しています。一学童クラブの工夫や努力では解決できない問題です。新宿区は、保育園の卒園児や在園児、入園児、そして地域の児童数を掌握し今後のニーズを把握していると思いますので、その上でどのような検討をされているのか、どのような可能性があるのかを具体的に示して下さい。

これまでに寄せられた保護者の主な声は以下のとおりです。保護者は今後の動向に注目しています。

・中落合まで一人で通所させるのは不安。子どもも行きたがらない。
・暫定的にひろばを利用するにしても、時間が合わない(落四小10:00~17:00)
朝や夕方以降の時間帯だけでも対応できないのか?
・来年度は入所できたが、このようなことが毎年続くのでは困る。
4月以降の予定がたたなくなり、仕事を辞めることになった。

 

4.連協では一貫して、おやつは、低学年の子ども達にとって必要な補食として考えています。学童クラブは、特に低学年の子ども達が集まる場です。とりわけ、1年生は、一度に沢山食べることができず、昼食は食べきることができないのにおやつの時間にはお腹が減ってしまう子がかなりいます。運営形態が多様化する中でこのことがきちんと伝えられて、おやつが提供されているのか疑問視してしまうこともあります。民間委託された直後には、おやつにソーセージの薄切りが数枚でてきた業者もいました。現在ではそのようなことはないまでも、再度新宿区として補食としての役割を担うのがおやつであると運営事業者や直営の館に対して指導いただければと思います。

また、中には食物アレルギーを持つ子も増えてきています。全ての指導員の食物アレルギーに対する知識と誤食してしまった時などのアナフィラキシーショック時などの対応を適切に行えるように併せてご指導いただければと思います。

 

5.集団遊びの継承も含めた研修交流会が、新宿区の主導の下、公営・民営の枠を越えて実施されていることは大いに評価しています。多様な運営形態になり、子育て経験もなく、学校の現場学習程度しか子どもに関わっていない知識と経験の未熟な指導員も増えてきています。父母としましても、一緒になってこれからの学童クラブのあり方について、研鑽を積む中で適宜意見交換の場を設定し、事業者の現場の指導員と話し合うことは有効な手段であると考えています。毎年一回そのような場を設定していただけるよう、お願いいたします。連協としては、12月に実施していただきたいと考えます、ご検討ください。

 

以上