2010年4月13日 児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望

平成22年3月13日

新宿区長

中山 弘子 様

新宿区子ども家庭部部長

伊藤 陽子 様

 

児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望

新宿区学童保育連絡協議会

会長  内田 優子

貴職におかれましては、平素より、子どもたちの健全育成ならびに連協の活動にご理解、ご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。

さて、平成22年度にむけ、新たに3児童館に指定管理者制度を導入するための選定準備が進み、また子ども家庭支援センターを併せ持った児童館への機能転換館が計画される等、新しい試み、新しい制度が導入されようとしている節目の時期を迎えています。

このように制度移行の激しい時期であるため、私たち児童館・学童クラブ利用者の保護者たちは、新しいものに対するいろいろな不安を抱えています。

つきましては、以下のような要望を提出させていただきますが、どうか私たちの心情をお汲みとりいただき、要望書の内容について是非ともご検討いただいたうえで、文書でご回答いただきますようお願い申し上げます。

 

要 望

1.長期休業日(春季、夏季、冬季)における区内学童クラブの朝の利用時間を公営館も8時15分からに変更してください。

2.新宿区内の児童館、学童クラブにおける集団遊び等の伝承、再建を目指し、社会適応能力を高めるために必要な支援体制の全般的な構築をどのように進め、継続される予定か示してください。

3.新宿せいが学童クラブの待機児童への対策について、現状と今後の対応を説明願います。

 

主旨説明

1.社会情勢の変化により、共働き世帯や両親の介護問題など、様々な事情により、学童クラブや放課後子どもひろば、保育園、幼稚園など区内の子育て支援サービスを活用する方が増加の一途をたどっています。すでに学校内学童クラブや放課後子どもひろばを増やすなどの新たな取り組みも始まっていますが、まだまだ受け入れ態勢が不十分といえます。

地域の中では、犯罪等が多発する状況などもあり、子どもたちが支援の目がある場所で安全な時間を過ごせる環境を保護者は望んでいます。すでに延長などの取り組みにより、利用終了時間については、おおむね保護者の理解と一致するところとなっている館も増えています。しかし、小学校の長期休業日における学童クラブの朝の利用時間については、9時からでは、共働き世帯にとっては、子ども一人の時間を持たせる、自宅の戸締りや火の始末などの心配事も重なり、とりわけ、一年生を抱える保護者は安心して働くことができません。一部の学童クラブでは、保護者の有志が集まり、長期休暇中の送迎を保護者が監視する体制をとっているところもありますが、長期的な視点で見ると解決策とはなっていないと感じています。

民営学童クラブにおいては、延長等に柔軟に対応がされていますが、保育園など延長を実施している公営園があることを鑑み、公営学童クラブにおいても柔軟に対応してください。

また、東京都全体を見ても、「10年後の東京」実行プログラムにおいて、子育てしやすい環境の整備を掲げ、学童クラブの開所時間の延長を掲げ、それを実現するための予算をつけています。

中山区政は、次世代育成支援計画において、総合的なビジョンを「子育てコミュニティタウン新宿」とし、施策目標では、目標2「きめこまやかなサービスですべての子育て家庭をサポートします」、目標3「子育てと仕事の両立がしやすい環境づくりを進めます」としています。このビジョンこそが、当会の要望している柔軟な子育て支援に合致するものであると考えます。また、区学童クラブ条例では、一部の学童クラブについては、第2項(1)において日曜日および国民の祝日に関する法律に規定する休日の午前8時から午後7時までとされ、必要がある場合については区長裁量により、利用時間を変更することができると明記されています。これらの文言をいかし、長期休業中の扱いについて切実な要望に応えてください。

つきましては、「子育てしやすいまちづくり」を新宿区が担う役割と位置づけている中山区政だからこそ、ニーズの多様化に対応するために小学校の長期休業期間においては、ぜひ、通常小学生が学校に着く午前8時15分から利用できるように利用時間の早急な変更を望みます。

 

2.指定管理者制度の導入などにより、児童館、学童クラブの運営主体が多様化しております。そのため、子育て経験もなく、学校の現場学習程度しか子どもに関わっていない知識と経験の未熟な指導員も増え、育成にあたる経験豊富な中堅指導員が不十分な雇用環境のため、定着率が減少傾向にあると感じざるを得ません。若い指導員は、体力もあり、ドッジボールやサッカーなどの運動系の遊びに関しては子ども達の欲求を満たすことができますが、集団遊びというのはそれだけではないはずです。

平成10年制定の「学童クラブ指導要領」の中で、四 社会的適応性を高めるための援助 「・・・・・子どもたちの相互の関係に十分注意を払い、話し合いや集団遊びを通して信頼関係を築いていく必要がある。」と述べられています。

ここでいう集団遊びとは、ドッジボール程度ではないと考えます。指導要領が作成された10年前には、Sケンも含めた文字通り集団で組織的に遊ぶ集団遊びが普通に見られました。近年では、指導員の力量や得意、不得意によってあまり行なわれていない館も増えているように思われます。公営館ですら、集団遊びが伝承されていない状況も見られています。地域においては、NPO法人などにより、こうした集団遊びの継承活動も実施されております。そういった多様な媒体を活かし、指導員の交流の場として活用するなど検討も必要ではないでしょうか。

すでに前回の要望の通り集団遊びの研修交流会を全館の指導員を対象に始められたことについては評価してきました。異年齢の子どもたちがひとつの空間で集団遊びを通じて、お互いの信頼関係を築き、社会適応能力を高められるよう新宿区内の児童館、学童クラブにおいて、集団遊びの伝承および再建に取り組んでください。

集団遊びの技術は、集団遊びを共に取り組みながら学ぶことでしか身につかないと思います。集団遊びを伝承できる指導員を公営民営を問わず各館に最低2−3週間程度派遣し、毎日1時間から2時間集団遊びの時間を全館で作ることを検討してください。公営、民営館や学童クラブで指導員の力量による差が生じることのないよう、新宿区の経験ある指導員等と民間指導員が交流できる研修の場を頻繁(3ヶ月に1度くらいの研修の場を考えております。)に設けることも含めて、早急に具体的な取り組みができるように望みます。

また、平成22年度以降については、それらの支援体制の全般的な構築をどのように進め、継続される予定か示してください。

 

3.これまでの要望書で上げ続けている問題です。平成22年度についても3年生だけでなく、2年生でも待機となる事態となりました。

前回の回答では『待機児童は中落合学童クラブか放課後子どもひろばを利用して欲しい』旨の記載がありましたが、懇談会の場にて「ひろばと学童クラブの役割は全く違いので、代替にはなり得ない」ことを確認しています。

一学童クラブの工夫や努力では解決できない問題です。

新宿区は、保育園の卒園児や在園児、入園児、そして地域の児童数を掌握し今後のニーズを把握していると思いますので、その上でどのような検討をされているのか、どのような可能性があるのかを具体的に示して下さい。

これまでに寄せられた保護者の声は以下のとおりです。保護者は今後の動向に注目しています。

・中落合まで一人で通所させるのは不安。子どもも行きたがらない。

・暫定的にひろばを利用するにしても、時間が合わない(落四小10:00~17:00)
朝や夕方以降の時間帯だけでも対応できないのか?

・来年度は入所できたが、このようなことが毎年続くのでは困る。

・4月以降の予定がたたなくなり、仕事を辞めることになった。

以上