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2005年8月19日 要望書

新宿区福祉部
部長 布施 一郎 殿
新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永 聡美
平成17年8月19日

要  望  書

貴職におかれましては、日頃から新宿区の学童保育に対し、格段のご配慮をいただき、誠にありがとうございます。
また3月の要望書で私たちからお願いした、学童クラブでの「出欠の確認方法」「登館遅れへの対応」「出欠の確実な把握・問題意識」について、早速ご検討い ただき、安全確保に関する統一マニュアルを作成していただきました。各館で検討され7月から具体化され、子どもたちの生活がより安全になりましたこと感謝 いたします。
さて、私たち新宿区学童保育連絡協議会は、毎月、学童クラブ児童の保護者と会合を持ち、各種の意見交換を行っております。その中で挙 げられた、新宿区の学童クラブ事業に関するいくつかの問題点を、この度、要望としてまとめさせていただきました。以下をご一読の上、部内でご検討、ご対処 いただけますよう、お願い申し上げます。

①定員オーバー館の急増を放置せず、増館などの具体化をしてください。
今 年4月の在籍数を見てもらえば分かりますが、定員オーバー館が急増しています。昨年の9館→12館へ増え、ついにトータルの定員905人をオーバーする 922人までになっています。しかも例年の予想をさらに上回り6月時点では960人をこえる状態になっています。また全体として学童クラブ間の数のアンバ ランスも拡大しています。それは小学校への選択性の導入によって引き起こされている部分もあると思われます。
今後とも学童児は増えていくと思われますので、さらにオーバー館は今後も増えていくでしょう。総合的な対策を今立てていく必要があると思います。

その中で、ずっと定員オーバー館であった富久学童クラブは定員オーバーではなくなりました。それはこの4月から富久小内に公設民営の学童クラブが増えた影響です。
逆に高田馬場第二学童クラブ(略称高二)は100人近い状態で一つの学童クラブとして維持することも無理な状態に近いです。
小学校のクラス担任の先生は、40人以下の決められた子どもたちを相手にすればいいです。しかも休み時間以外は、教室という狭い枠内にいつもいます。
しかし学童クラブの指導員は違います。学童クラブ児は、そこで放課後の生活をしているわけですから、常にあちこち移動しています。遊戯室で遊ぶ、図書室で本を読む、屋上でローラースケートや1輪車をするなど自由にできることが大事だと思います。
そのため指導員は何人いても全体の様子を見ておく、知っておく必要がありますから、苦しい状態です。さらに安全問題とあわせてばらばらの帰宅時間の管理などの業務は増えていて、その点からも全体の規模で適正化を図る必要があるのです。
区 では高二のオーバー館対策として、民設民営の学童クラブを2月末に公募し、唯一応募したフロンティアキッズを採用し、助成を始めました。しかし、登録児童 の12名も高2地域の児童ではなく、実際の利用は、ほとんどない状況が明らかになっています。結果としては、高2のオーバー館対策とはなりえなかったこと は明らかです。
学童保育の民間業務委託の導入にあたり、連協として出した陳情書についての区議会の委員会の中で、与野党問わずに多くの議員の方か ら、「業務委託になっても区民が心配しないように、質を維持するのは行政の責任だ」、との発言がありましたが、民設民営の学童クラブであっても、区が助成 をしている限り、質の維持・向上については行政が責任を持つべきであり、仮に質が維持できない場合は、内容を検討し、質を維持・向上させる対策を早急に打 ち出すべきではないでしょうか。
高二の近くには、区が所有していて今後転用できる可能性のある土地もあると思われます。
このままでは学童クラブとしての機能が失われかねない事態になっているため、改善への取り組みが必要です。各館での子どもたちの実態をつかんでもらい、定員オーバー館の急増を放置せず、増館・分館などの具体化をしてください。
《要望事項》
・増館・分館を視野に入れた対策の具体化を要望します。
・遊ぶ場や生活の場の確保のための具体策の検討を要望します。
*屋上があっても遊び場として活用されていない館もあるようです、調査検討してください。
*おやつを食べる場所の緊急避難としてことぶき館を活用させてもらうなど具体化と改善を館に任せるのではなく福祉部として取り組んでください。

②土曜日、学校の休日、および長期休暇中(特に夏休み)の学童クラブの開始時間を、8時15分にしてください。
ある館では、春・夏・冬の学校がお休みの時期に、学童クラブが開く前に親が出勤する家庭の子どもたちの為の「早朝利用」活動を行っています。
9時 (実際には8:45に職員はいる)からの受け入れに対し、親が子どもより早く家を出る家庭では、子ども(特に1年生)が自分で鍵をかけて出て行く事を心配 している保護者も多く、たとえそれができても子どもが9時を目安に出られない、公園やガードレールの辺りで開くのを待っていたりと、何かと安全面での不安 が多いのです。
8時からの児童館(学童クラブ室ではない)を利用するために、区に団体登録をして館の鍵をもらえるようにし、学童クラブの父母のボランティアの人が毎朝交代で館を開け子ども達を受け入れ、8:45に児童館職員に引き渡します。
その館の保護者は、以下のように言っています。
「今 年もなんとか30日分の担当欄が埋まりましたが、ボランティアなどできない父母が多い年には、この活動そのものが成り立たなくなるかもしれません。そもそ も子どもが夏休み中だからといって親の就業時間が変わるわけでもないし、子育て支援の看板を立てる区が考えてほしいです」と。  

新宿区が策定した「次世代育成支援計画」では、
目標1子どもの生きる力と豊かな心を育てますの中で、重点項目として、子どもたちの遊び場・居場所の充実があげられ、その2番目に児童館の充実が上げられています。
具体的には、「少子化の進行や学校五日制の開始、共働きの増加、核家族化など、社会状況及び子どもや家庭の状況の変化に伴い、児童館に期待される役割も、子どもたちの仲間作りや豊かな遊びの提供にとどまらず、子育て支援や地域交流の場としての役割も加わってきました。
また、開館日や利用時間も拡大してきました。現在、児童館は、児童指導の専門職員が配置され、地域の子どもの居場所・乳幼児親子のつどいの場・身近な相談の場として多くの子どもと保護者に親しまれ、利用されています。
このように、乳幼児から18 歳未満を対象とした施設である児童館は、地域の子どもたちの成長の流れを見守ることができる重要な拠点となっています。」と述べられています。

目標3 子育てと仕事の両立がしやすい環境づくりを進めますの中で、重点項目として、1 多様な保育サービスの展開があげられ、その2番目に学童クラブの充実が上げられています。
具 体的には、「児童館併設の学童クラブには、次のような利点があります。① 遊び場や体験活動の場として児童館を利用できる。② 学童クラブ利用児童以外との日常的な交流が図れる。③ 学童クラブを終了した4 年生以降(障害児童の場合は中学生1 年生以降)も子どもにとって慣れた場所である児童館で過ごせる。」と上げられています。子ども達の居場所として大事にしてほしい場です。
公設公営の館でも早番・遅番での運用などで、8時15分〜空けることは可能ではないのでしょうか?休み中も学校と同じ時間に学童クラブが始まるべきだと考えます。
《要望事項》
子どもたちの遊び場・居場所の充実としての児童館の充実からも、子育てと仕事の両立がしやすい環境づくりからも、土曜日、学校の休日、および長期休暇中(特に夏休み)の学童クラブの開始時間を、8時15分にしてください。

③児童館・学童クラブの充実のために不可欠な、連絡先などの個人情報を得るための父母会活動への理解と協働の方法についてのマニュアル作成に協力してください。
個人情報保護法をめぐっては、法律施行直後ということもあり、各館と各父母会の間でどのように個人情報集めを連絡体制を作ったらいいのか苦労されたところが多くありました。
福祉部でも配慮いただき、各児童館への通達として、父母会が作成した個人情報提供依頼書の配布などには協力するよう知らせていただきました。
同じような混乱を避け、各館での良好な協力関係のために、連協と子ども家庭課の間で協働の方法についてのマニュアルを作成したいと思います。
今年中の具体化をめざし、話し合いを始めてください。
《要望事項》
児童館・学童クラブの充実のために不可欠な、連絡先などの個人情報を得るための父母会活動への理解と協働の方法についてのマニュアル作成に協力してください。

(以上)

2005年3月3日 要望書

新宿区福祉部
部長 布施 一郎 殿

新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永 聡美
平成17年3月3日

要  望  書

貴職におかれましては、日頃から新宿区の学童保育に対し、格段のご配慮をいただき、誠にありがとうございます。
さて、私たち新宿区学童保育連絡協議会は、毎月数回、学童クラブ児童の保護者と会合を持ち、各種の意見交換を行っております。その中で挙げられた、新宿区 の学童クラブ事業に関するいくつかの問題点を、この度、要望としてまとめさせていただきました。以下をご一読の上、部内でご検討、ご対処いただけますよ う、お願い申し上げます。

この度は特に、学童クラブ児童の出欠に関して要望させていただきたいと思っています。先ずこの用件の背景について説明させてください。

この冬休み期間中、西新宿学童クラブでこんなことが起きました。
冬休み中のある土曜日、学童児Aくんがお弁当を持って学童クラブへ行ったところ、指導員が「今日は学童クラブの利用は誰もいないはずだよ」とAくんへ言い ました。Aくんの保護者は事前に冬休みの出席予定を提出していたのですが、指導員の記載ミスでその日は出席なしとされていたのです。
指導員にそう言われたAくんは、それならば一般として遊べると考ました。Aくんはそのまま家へ戻り、お弁当をおいて、カードゲームなどを持ってこども館に戻り、その日は一日中、お昼ごはんも食べずに一般として遊んだそうです。
家に帰ってこどもとの会話に変なところを感じた保護者が問いただしたところ、このような事実が分かり、保護者はこども館へ連絡しました。その日のうちに、申し送りでミスをした指導員から電話があり、ミスがあったことを認め、この件について保護者に謝罪しました。

学童保育連絡協議会の運営委員会でこの話が報告されると、参加の保護者の方々からいくつもの意見が出され、活発な議論になりました。その議論の中で、西新宿学童クラブに限らず、区内の学童クラブ一般についても言える、いくつかのことが明らかになりました。

そこで、協議会ではこの件をより深い議論のテーマとするため、各学童クラブ父母会と各学童クラブへアンケートを実施しました。
そのアンケートを基に、保護者同士でさらに議論が行われた結果から、いくつかの要望をさせていただきます。

(出欠の確認方法)
まず、登館の確認方法や出欠の記録方法に、区内で統一したものがないことがわかりました。
多くの館では台帳に記録し、登館を確認した時点でそれにチェックをする方法を取っているようですが、児童館の利用者カードを別ボックスにして、それを必要に応じて見ている、児童の氏名を書いたマグネットを使っている、などもありました。
このようなノウハウは各館で独自に引き継がれるものではなく、指導員同士の交流や会議を通じて共有されるべきものではないでしょうか。また、西新宿こども館で起きたような引継ぎミスは、同様にノウハウの交流を通じてシステムの改善がなされるべきだと考えます。
さらに、このような業務に対して、区としての適切な指導やガイドラインの提示があるべきではないでしょうか。

* 学童クラブにおける児童の出欠の確認、記録、申し送り方法について、区内全館での指導員同士のノウハウ交換を通じた改善に配慮してください。
* 学童クラブにおける児童の出欠の確認、記録、申し送り方法について、区としてのガイドラインの提示を検討してください。

(登館遅れへの対応)
通常月における学校から、あるいは、長期休暇中における自宅から、学童クラブへの登館時間には、ある程度の見極めができると思います。しかし、児童が来る べき時間に登館しなかった場合の指導員の対応にも、各館で差があることが分かりました。ある館には、30分待って来なければ、先ず学校に連絡、近所の公園 などに探しに行ってから保護者に連絡する、などのように、はっきりとした取り決めがありました。また、特に取り決めがなく、実際には2時間くらい経ってか らようやく保護者への連絡があった、という館もあったそうです。
このような議論を通じて、 登館遅れ時の対応についての明確な説明を受けていな かったという保護者が多くいる、ということが分かりました。また、児童の登館遅れについては、学校との距離や各児童の性質など、個別の問題も考慮しなけれ ばならないことも話題になりました。ですから区内全域に通用するガイドラインを作成する必要もあると考えますが、まず各館で保護者と十分話し合って、明確 な共通理解を持つことが重要なのではないでしょうか。

* 学童クラブ児童の登館遅れ時の対応について、各館の状況に応じた対応方法を、指導員と保護者が十分に話し合うことに配慮してください。

(出欠の確実な把握・問題意識)
児童の登館遅れについては、単なる寄り道から意識的なさぼりまで、各種の理由があると思います。
実際に、友達の家に遊びに行きたいがために学童クラブへ行かなかった、あるいは寄り道が長引いて1時間ほど遅くなった、などの事例がアンケートで報告され ています。このようなケースについては、先ず各保護者がきちんと指導しなくてはならないことを十分認識する必要がある、という意見が何人もの保護者から出 されました。また、「寄り道もこどもの成長にとって大切。それゆえ指導員には、叱りながらもあたたかく見守る、心の奥行きが必要」との意見もありました。
その一方で問題になったのが、何らかの理由で児童が登館しなかった、あるいは大幅に遅れているにも関わらず、指導員から保護者への連絡がなく、なんらの対応も行われなかったというケースが、複数の館から報告されているということです。
これは、前述のように児童の出欠を確実に把握するノウハウが欠けている館がある、ということが原因かもしれません。
さらに保護者からの問い合わせに対し、指導員にそれほどの重大性の認識も危機感も感じられないケースもありました。
保護者が子どもに伝えたいことがあって児童館へ連絡したところ、「今日は来ていません」と平気で言われた。児童館から子どもが来ないと連絡があったので 「探しに行って下さい」とお願いすると「今は人手がないので…」と言われた。こどもが2日間もサボって行かなかったのに、学童クラブからは全く連絡が なかった、などの事例がありました。
学童クラブを利用する保護者の第一の心配は、子どもの安全です。保護者は、子どもが学童クラブで信頼できる 大人の保護下にいる、ということで安心していられるのです。昨今の情勢を考えると、子どもが登館しないのは、いつも寄り道やさぼりで遅れているのだと考え るわけには行きません。寄り道かと思ったら、実際には事件に巻き込まれていた、ということであっては決してならないのです。
学童クラブ児の出欠を確実に把握できないことが常態化している、あるいは、指導員が児童が登館しないことに問題意識・危機意識が低い、ということでは保護者が安心できないことは言うまでもありません。

* 指導員が学童クラブ児の出欠を確実に把握できるよう、配慮してください。
* 学童クラブ児が確実に登館することへの、指導員の問題意識・危機意識の向上に配慮してください。
* 学童クラブは、児童の登下館時の安全についても、配慮しなければならない、ということに認識を新たにしてください。

(子どもの心を感じ取る能力)
西新宿学童クラブのA君のケースで、もうひとつ議論になったのは、「今日は学童クラブはないよ」と言われたときのA君の心の動きを、指導員が何故察してあ げることができなかったのか、ということです。また、土曜日に通常A君は登館しています。経験のある指導員だったら、その事情を知っていれば「何か変だ な」と感じて、「今日はお母さんか誰かおうちにいるの」などの声かけをし、臨機応変に学童クラブとしての受け入れをしてくれたのではないでしょうか。A君 は一日中こども館にいたわけですから、それはいつ言ってもよかったわけです。
「子どもはうそをつくこともあるし、都合の悪いことには口をつぐ む。それにきちんと説明する能力がない場合もある」、「だからこそ指導員は言葉にならない子どもの心を察知し、硬軟使い分けて対応する能力が必要」と、学 童クラブを長年利用しているある保護者が意見を述べてくれました。
それ故、前記の寄り道に対する態度のことも含めて、児童館・学童クラブの指導 員というのは高度な専門職で、経験と絶え間ない改善意欲が欠かせない立派な仕事だと思います。 一方、A君の事件が昨年民間業務委託されたばかりの西新宿 こども館で起きたということは、内在する問題点が表面化したことだとも思います。

* 指導員という職業の「子どもの心を感じ取る能力」に対して、各指導員が認識を新たにし、さらに研鑽に励むことに配慮してください。
* 公設公営館、民間業務委託館に関わらず、指導員が「子どもの心を感じ取る能力」を等しく持てるように、より一層配慮してください。

以下、昨年度同様、引き続き要望申し上げます。

(安全の確保)

* 子どもの安全確保のため、学校や教育委員会、警察等との連携に十分配慮してください。

(入所基準)

* 本年度も「一人の待機児も出さない」との基本姿勢を十分貫いてください。
* 入所に関する近隣調整は、本人及び保護者の意向を十分尊重して決定してください。

(民間業務委託)

* 児童館および学童クラブの民間業務委託については、保育内容の低下とならいないことに十分配慮してください。
* 民間業務委託児童館および学童クラブの新規開始については、当該の保護者や父母会、近隣住民への十分な説明と納得を前提に進めてください。
* 特に本年4月から業務開始が予定されている、「戸塚第一小学校地区民間学童クラブ」についても、当該の保護者や近隣の学童クラブ利用者、およびその父母会への十分な説明と納得を前提に進めてください。
* 民間業務委託を実施している児童館および学童クラブについては、評価基準と評価方法を明らかにし、その結果を公表してください。

(利用時間)

* 学童クラブの利用時間を、区内すべて同一の内容としてください。
* 土曜日、学校の休日、および長期休暇中の学童クラブの開始時間を、8時15分にしてください。

(お弁当)

* 学童クラブ児であった新4年生は、春休み期間中、お弁当の持参や受入れ時間を、学童クラブに準じた扱いにしてください。
* 長期休暇中、一般児童が児童館でお弁当を食べることを認めていることを、各館の指導員へ周知徹底させてください。

(学童クラブ事業予算)

* 学童保育に関する施策を充実し、必要な予算を増額してください。
* 学童クラブのおやつ代と行事費を増額してください。
* 学童クラブが加入している保険について、対象時間や対象場所等をひろげることを検討してください。

(おやつのメニュー)

* おやつのメニューに関しては、父母会や保護者の意見を聞き、手作りおやつを増やすなど、子どもたちの健やかな成長に十分配慮してください。

(障害児の利用)

* 障害児童の学童クラブ利用学年については、柔軟に対応してください。
* 障害児童が学童クラブを利用するときは、専任の指導員を配置することを制度化してください。
* 障害児童の学童クラブ利用枠については、希望者全員が利用できるようにしてください。
* 障害児学級を開設している小学校の、近隣の学童クラブでは、障害児の希望者全員が入所できるようにしてください。
* 障害児童の、学童クラブを含む児童館の利用にあたっては、保護者と十分話し合ってください。

(以上)

2008年9月1日 児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望

児童館・学童クラブ事業のあり方に関する要望

平成20年9月1日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 内田 優子
いつも子どもたちの健全育成事業にご努力いただきありがとうございます。
学童クラブ・児童館の事業で、最初に民間業務委託された館は、次年度へ向けて新たな選定作業・プレゼンテーションをへて新しい委託先の選任が行われます。同時に次年度から指定管理者制度という新たな制度が導入されようとしている節目を迎えます。
そのような時期にあたり以下の要望を提出いたします。
ご検討いただき、文書で回答をいただきますようお願い申し上げます。


要 望

①民間委託館で次々に指導員がやめています。予算措置等も含めてきちんとした事態の解決への方策を出してください。あわせて委託館の各館ごとに、これまで何人の指導員がどのような期間業務についていたか(何年でやめられたか)などの実態を調査してください。

説 明 平成10年制定の「学童クラブ指導要領」の中で、「一 暖かい環境づくり  クラブは、子どもにとって、下校時の一定時間、また長期休業中においては 日中の大半の時間の生活の拠点である。したがって、できるだけ暖かい雰囲気をつくるよう配慮し、子どもが安心して落ちつける環境づくりをする。また、どの 子どもに対しても常に公平な態度で接することを心がけ、受容的な態度で子どもの悩みや欲求を聞くようにする。以下略」 と述べられています。
本当にその通りだと思います。しかし、民間委託館の多くでは指導員が次々にやめ、落ち着ける環境が維持されていないのです。子どもたちが安心できる環境づくりに行政は責任を持ってほしいです。
2年前、待機児を出しかねないポイントの見直しに対する陳情について話し合われた区議会の福祉健康委員会で「質の維持は行政の責任」とのまとめの発言がありました。
指 導員が子どもたちの3年間を継続指導するという最低限の質の維持が、民間委託館ではできていないところがあることを理解してください。年度の途中で指導員 がほとんどやめてしまう、3年間子どもの様子を見続けてくれる指導員はほとんどいないなど、公設公営ではありえないことが民間業務委託では起こっていま す。1年生に入り不安な放課後を過ごしている学童児が、指導員たちになつきようやく落ち着いて学童クラブでの生活になれてきたとたんに、そのしたっていた 指導員の方たちが次々にやめていったとしたら、どんな気持ちでしょう。みすてられたような気持ちを持ってしまう子もいると思います。
4年前からの業務委託館では開設時の先生が現在一人も残っていないということの異常さをもっと考えてほしいです。何人の指導員が入れ替わったかなどを調べてほしいとしているのはそのためです。
予 算措置等も含めてきちんとした事態の解決への方策を出してください。懇談会の中で、前課長は委託費が4年間変わらないのはどうかなど検討していると言われ ました。もっと早く正常化のための手を打ってください。よくしてくれる指導員がやめなくてすむよう、子どもたち、そして保護者は心から願っています。

②公設公営、民間業務委託館、民営を問わず切磋琢磨するための方法と評価基準を具体化してください。新しく始まる指定管理者制度下で、現行のソーシャルワーカーのような区とのパイプになり、相談業務を受け持つ区の職員の配置を検討し、実現してください。

説 明 すでに民間業務委託が始まって4年以上たちます。区では切磋琢磨しつつサービスの拡大をめざすと言われてきました。しかし、切磋琢磨の質的な裏づけに ついては、「区職員の実施する児童館・学童クラブと切磋琢磨していくには、お互いの評価を共有するツールがいりますが、これまでは、質の面で両者を比較す るツールがありませんでした。今年度から、委託館だけでなく、それ以外の館でも、利用者アンケートを実施する予定です。この結果を分析し今後のお互いに高 めあう運営に結び付けていきたいと考えています。」と1年前の懇談会でやっと述べられました。
民間委託以前から質の低下への不安を連協は指摘してきましたが、あまりにも対応が遅いのではないでしょうか。
西 新宿では開始早々全ての指導員が入れ替わっていたり、スタートからごたごたが続きました。父母会や連協からの指摘でやっと、館長・SW・委託の指導員との 連絡会が始まりました。他の問題でも同様で父母達が子どもたちの居場所の維持を求めて行動しない限りアクションを起こさず、業者からのヒアリングにもとづ いて「現在はうまく行っていると聞いています」と言われても、実際の状態とは違うのです。質が維持できていません。子どもたちの身近にいて声を上げている 父母の気持ちを大事にしてほしいです。
私達は子どもたちの居場所を守りたいのです。子どもたちの居場所を守るためには、現状をどう認識し、チェッ クするかが必要です。不安定さをかかえている民間委託館には、現行のソーシャルワーカーのような区とのパイプになり、相談業務を受け持つ区の職員の配置が ぜひとも必要です。「年度の終わりに評価」しても、居場所機能不足のまま過ぎ去った1年間は取り戻せないのです。
また民間委託館だけでなく、公設公営館でも質の維持のためのチェックと改善が必要だと私たちは感じています。
平成10年制定の「学童クラブ指導要領」の中で、四 社会的適応性を高めるための援助 「・・・・・子どもたちの相互の関係に十分注意を払い、話し合いや集団遊びを通して信頼関係を築いていく必要がある。」と述べられています。
この集団遊びとは、ドッジボール程度ではないと考えます。指導要領が作られた10年前には、Sケンも含めた文字通り集団で組織的に遊ぶ集団遊びが普通に見られました。指導員の力量や得意不得意によってあまり行なわれていない館も増えているように思われます。

③来年度から導入予定の「指定管理者制度」について説明資料を作成してください。そして、公営、民間委託、民間を問わず学童クラブのすべての保護者、保育園の保護者に渡るようにしてください。その上で制度変更に関する勉強会を早急に各所で行って頂くことを要望します。

説 明 今年3月の懇談会において、「指定管理者制度」について行政と学童クラブ父母とで十分理解を深めた上で導入していこうとの約束いただいたはずです。あ れから6ヶ月が経過しましたが、保護者にはその後の進捗状況についての説明がありません。説明資料も全館に配布されていません。このまま保護者がきちんと した情報を持つ事ができないまま、なし崩し的に行政主体で「指定管理者制度」が導入されていくことには納得できません。②でふれたソーシャルワーカーの配 置も含めて、あり方の変更は必要です。この新システムに学童児が振り回される事にならないようにしてください。今後、学童を利用する可能性のある地域の人 へも説明がないのは問題です。たとえば、つい先週に信濃町保育園の保護者でこのことを「えーっ?!全然知らなかった」という人がいました。
選定委員会が発足する前に、行政がどこまで「指定管理者制度」に関して理解を深めた上で導入しようとしているのかを、私たち学童児を預ける保護者は知りたいのです。「指定管理者制度」導入に関して、学童クラブ利用者みんなが納得のできる説明を各所でして頂きたいです。

子 育てが難しい時代、次世代を育てていくためにもさまざまな方策が必要になっています。共働きも増え、シングルで働きながら子育てをしている保護者も増えて います。保護者が働いている家庭の児童のための生活の場としての学童クラブ、地域の子どもたちの居場所としての児童館の役割はますます重要になっていま す。子どもの行政が福祉部から独立し子ども家庭部となったのにあわせて、行政のプロとしての取り組みが強化されるよう望みます。

*以上が新宿区学童保育連絡協議会としての要望です。懇談会当日は各館から父母が参加しますので、これ以外の意見や要望も出ることが考えられます。それらの意見についてもできるだけお答えいただきますよう、あらかじめお願いしておきます。