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2009年9月 新型インフルエンザ発生における児童館・学童クラブ事業の対応に関する要望

平成219月 日

新宿区長

中山 弘子 様

新宿区子ども家庭部部長

伊藤 陽子 様

新型インフルエンザ発生における児童館・学童クラブ事業の対応に関する要望

新宿区学童保育連絡協議会

会長  内田 優子

貴職におかれましては、平素より、子どもたちの健全育成ならびに連協の活動にご理解、ご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。

さて、新宿区内におきましても、新型インフルエンザの発生が確認され、感染拡大防止について対策を講じていることと思いますが、学年閉鎖、学級閉鎖にになった児童に対する児童館、学童クラブの利用について、要望いたしますので、是非ともご検討いただいたうえで、早急に対応いただきますようお願い申し上げます。 続きを読む

2007年9月21日 要望書とその回答

新宿区福祉部子とも家庭課との懇談会(9月21日・金・午後7時)において、連協からの要望書に担当課から回答をいただきました。要望書全文とその回答をまじえて以下に掲載します。

新宿区福祉部子ども家庭課
課長 吉村 晴美 様
要 望 書
平成19年9月21日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 片岡 宏子

新宿区役所におかれましては平素より新宿区の子育てにご配慮いただき、誠にありがとうございます。区内学童クラブ父母会より連絡協議会に寄せられた学童保育に関する要望です。ご一読のうえ、懇談会でご意見をお聞かせ願えればありがたく存じます。

●戸山学童クラブ父母会から:

・ 学童クラブの障害児受け入れ枠を3名とする基準について、これを要望・申し込みに応じて柔軟に対応してください。戸山学童クラブには現在3名(+1名)の 障害児がいますが、来年度さらに2名の入館が予測されます。その場合、現在の利用定員枠を広げ、希望者が入れるよう柔軟な運用にしてください。

・現在の障害児2名に対し1名の職員という配置を、障害児1名に対し1名の配置としてください。また加配の職員は11ヶ月勤務のアルバイトではなく有資格の非常勤か正規職員を充ててください。

(子ども家庭課からの回答)
障害児の利用定員枠については、障害児等利用要綱では「おおむね一学童クラブにつき3名まで」と規定しております。現在、利用希望者の状況に応じ、柔軟性を持って対応しているところですが、学童クラブ全体の運営から一定の上限を設ける必要があると考えています。
職員配置については、障害児等対応職員として、非常勤を最低1名配置しています。さらに、2名以上の利用がある場合には、学童クラブの状況に応じ臨時職員 の配置をしており、障害児等2名に対し1名の職員配置という配置基準ではないことをご理解いただきたい。障害児等のご利用が毎年増えている現状について は、重要な課題のひとつと認識しています。
●北新宿第一学童クラブ父母会から:

・長期休暇中の受け入れ開始時間を学校と同等の朝8時15分にしてください。

・預かり時間を夜7時まで延長してください。

(子ども家庭課からの回答)
現在、長期休業中は職員の出勤時間をずらして9時(必要な場合は8時45分)から受け入れております。これ以上の時間延長に対応するためには、さらに大幅なシフト勤務を組む必要がありますが、現行の職員数、手薄な時間帯ができてしまうため対応は難しい状況です。
通年の7時延長については、児童館は学童クラブだけでなく、子育て支援事業として、午前中幼児サークル等実施しており、やはり、職員体制が取れない状況があります。
職員定数は、区全体の中で抑制を求められており、児童指導業務という手法で委託時間延長需要に応えていきたいと考えています。
●信濃町学童クラブ父母会から:(21年度からの信濃町学童および四谷第六小学校内学童の業務委託構想に関して):

・構想案の前段階として

1)「業務委託構想」に関する説明会開催の案内が保護者に正確に周知されず、まともな説明会が有ったとは言い難いと思います。利用者の利便を考えた構想なら、区は構想に関して利用者が納得するような説明責任があると考えますが、いかがでしょうか?

(子ども家庭課からの回答)
説明責任を果たすことは重要です。そのため、できるだけ早い時期に説明したいと考え、9月8日に説明会を開催しましたが、周知の案内が不十分で、結果的に 参加者が少なかったことは、残念であり、大変申し訳なく思っています。そのため、本日の会場も当初の区役所から信濃町児童館に変更しました。また25日ま でがパブリックコメントの期間ですが、要望があれば父母会等に出向いて説明します。
2)区内の業務委託の学童で、スタッフが次々と辞めた事例が多 々有ると聞いていますが、改善されているのでしょうか?今後は決してこのような事は起こらないのでしょうか?業者をきちんと選定し、人事採用にまで区がき ちんと監視して善処して頂けるようお願いします。また、改善が見られた上での、今回の業務委託事業案なのでしょうか?

(子ども家庭課からの回答)
18年度までに4箇所で指導業務を委託しており、退職もしくは異動は各館であります。直営館でも異動・退職はありますが、昨年度の早稲田南町で、年度内 に、また同時期に複数名が退職した事例は、特に教訓とすべきものであったと考えています。今年度に向けては、委託料の増額及び雇用職員の待遇改善や本社ス タッフのフォロー体制の充実を要請しました。また、区担当者と事業者の打ち合わせの強化、委託実施児童館の館長や区職員の連絡会なども行っています。雇用 については事業を委託しているので区は介入できません。プロポーザル時に提案した内容(人員、資格等)は守るのが当然であると考えています。
3) 世の中の流れに併せず、新宿区は断固とした態度で学童を「公設公営」で運営して欲しいと考えます。民任せでは父母は安心して子どもを預けられません。学童 を業務委託する事の利点を区の観点から教えて下さい。利用者サイドからは、欠点ばかりが目について利点が見えて来ません。

(子ども家庭課からの回答)
事業者委託の利点は、雇用形態の多様化により多くのサービス(時間延長等)提供ができることです。また、時間内は必要な人員を配置する必要があるため、直営のように休暇等で人手が薄くなることがありません。
これからの公共サービスの担い手は「官」だけでなく、NPOや社会福祉法人、株式会社など多様なものであってよいと考えている。連協が担い手になることも可能です。
4) なぜ、四谷第六小内に学童を作るに至ったか教えて下さい。四六小周辺の夕方は人通りが途絶えるので、犯罪に巻き込まれた時に声を出しても、防犯ブザーを鳴 らしても誰も気づかないような立地です。これではとても独り帰りはさせられません。区は、立地条件などをきちんと検証した上で設置案に至っているのでしょ うか?定員オーバー対策と称して、ただ学童を増やせば良いというものでも無いと考えます。

(子ども家庭課からの回答)
信濃町学 童クラブ時のおよそ半数は四谷第六小学校利用児童です。あとの質問の新設の基準にも関係ありますが、できるだけ小学校数に対応した学童クラブ設置を目指し たいと考えており、児童館内の学童クラブが大規模になっている地域では、空き教室等があり、学校と調整がつけば小学校内に学童クラブを設置していきたい。 また、今後放課後子どもひろば事業が各小学校で展開されていく中で、連携して校庭等安全安心な場所で活動できると思います。
5)なぜ、新校である四谷小内に学童スペースを作らなかったのか教えて下さい。信濃町学童の定員がオーバーしているのは何年も前からの顕著な傾向なので、四谷小の設計段階から学童設置を考慮に入れる事も出来たはずと考えます。

(子ども家庭課からの回答)
設計段階で要望はありましたが、スペースの関係で難しいと判断しました。
需要についても、四谷小学校設計時点では、15年度本塩町28(定員30)、信濃町47(定員40)、16年度本塩町34、信濃町43で、大幅な超過とは なっていませんでした。また当時は、まだ学校内学童クラブの設置は、区としてはイレギュラーな考え方であったことも、判断の要因としてはあったと思いま す。
・構想案が現実となった場合

1)居場所事業とは混同しないで、有資格者の学童専任の指導員を学童数に併せて配備して頂けるようお願いします。

(子ども家庭課からの回答)
居場所事業というのは「放課後子どもひろば」のことだと思います。放課後ひろばは、学校施設を活用して子どもの自主的な遊びや学びを支援する事業です。学 童クラブは、放課後、家庭にかわる生活の場という機能がありますので、そこは大切にしていきます。生活現在富久小学校内や、戸山小学校内でも、学童クラブ 担当職員と放課後子どもひろば担当職員は分かれています。事業の中で連携することはありますが、役割は明確化されています。指導員の資格は、募集要項に入 れてあります。
2)おやつやお昼作りの献立は必ず子どもの成長を考えた物にし、食物アレルギーへの配慮をこれまで通り徹底して頂けるよう、また父母会からも意見を言えるよう、区が委託業者に提示して下さい。

(子ども家庭課からの回答)
現在委託している学童クラブでも保護者から事前に「現在行っているサービスを継続して欲しい」と要望が出され、事業者もそれに沿って運営しております。事業者選定の際にご意見をいただければ反映します。
3)メールによる緊急連絡の配信をこれまで通り継続して下さい。

(子ども家庭課からの回答)
継続します。
・構想案実現に向けて

1)業者の書類選考段階から、連協役員および信濃町父母会より複数の保護者を選考委員として投票権を与えて下さい。出来るだけ多くの利用者サイドの声に聞く耳を持たない限り、今後も同じような委託による問題が生じると考えます。

(子ども家庭課からの回答)
17年度委託(富久小学校内)及び19年度委託(西落合、百人町)の際は、利用者の意見を反映する必要があると考え、学童クラブ父母も選定委員になっていただきました。今後も同様の方針で考えています。
●新宿せいが学童クラブ父母会から:

・ 区は民間学童クラブへの補助金額を変更せず、これを維持するとの方針ですが、いずれの民間学童クラブも厳しい経営環境であると聞いています。この補助金額 は適切であり変える必要がないと判断するに至った経緯と、そう判断するためのどのような検証を行ったのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
補助金については、都の助成要綱に上乗せする金額を区として補助しています。19年度は障害児対応職員の補助金額を改定(増額)しました。
また、昨年度区立の児童館・学童クラブに防犯目的のカメラを設置した際には、民間学童に対する補助制度を設けて、同様な対応ができるよう配慮しました。
今後も情勢を見ながら助成金については精査していきたいと考えております。
●こども館から児童館への転換について:

・「こども家庭支援センター・児童館・学童クラブの方向性(概要)」(H19/8/22)によると、「こども館の名称は改め児童館に戻し、中学生以上も利用の対象としていく」との方針が示されていますが、この方針転換の背景と根拠を教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
第一に、児童館が、児童センター・児童館・こども館に分かれているのは、事業に違いがわかりにくく、また中高生の居場所の確保等を総合的に考えると児童館機能を持つ施設としては、利用年齢制限を設けることはふさわしくないと考え、考え方を変更しました。
こども館は小学校内で児童館事業を展開するにあたり、利用年齢を限定する必要があったため設けたものですが、個々の例で見ると、西新宿こども館は、小学校 が管理する施設ではありますが、実際は旧淀橋二中施設で、施設も広く、また他の事業で小学生以外も利用しているので、制限する理由がありません。早稲田南 こども館も小学校内ではありません。また22年度に移転予定の、高田馬場第一も幼稚園舎利用で導線が分かれており問題ないと判断しました。
ただし、早稲田南は狭いという課題はありますが、近隣に中高生スペースをもった榎町があるので、活発に遊びたい子ども・職員とのじっくり向き合うような交流を求めている子どもには榎町を勧めるなど、指導の範囲で対応可能と考えます。
●児童館および学童クラブ機能の業務委託方式について:

・榎町などで導入された民間業務委託では児童センター業務と学童クラブ業務の一括委託という方式をとっていましたが、西落合などでは学童クラブ業務のみを委託するという方式に変わりました。この方針転換の背景と根拠を教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
当初直接指導業務と相談やソーシャルワーク機能を分けて、それぞれ委託職員と区職員が担うという考え方をとりました。理論的整理としては、それでよかったのですが、運営していく中で、切り分けられない部分があると判断し、変更しました。
●業務委託事業の監査について:

・昨年度、民間業務を受託している早稲田南町こども館で職員の大量退職が発生しましたが、民間業務委託館に対して区としてどのような監査、指導を行っているのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
監査は監査事務局が担当しております。監査委員による監査と事務局職員が行う事務監査があります。本庁の事務監査は毎年実施されており、委託契約関係も対 象となっています。また、出先事業所はローテーションで毎年何館かに監査委員及び事務局職員が出向き行っています。問題があれば監査の講評の中で指摘を受 けます。委託館も区営であり、他の児童館と同じです。
担当課の委託事業者への指導としては、改善すべき内容があれば、事業責任者に対し行います。また日々の業務の履行については報告書により確認しています。
●学童クラブ新設の基準について:

・ 「新宿区第一次実行計画(素案)」によると学童クラブの新設が予定されています。今後も新宿区では学童クラブ需要が増加していくことは明らかだと思います が、区としてどのような需要予測に基づいて学童クラブの新設を計画したのか教えてください。特にファミリータイプマンションの建設予定など、地域的な需要 予測が配慮されているのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
新宿区は長い期間児童館内でのみ学童クラブを実施する方 針で、利用人数が多くなった場合は、クラブ室を拡張するという対応で、凌いできましたが、クラブ児にとっての家庭的な環境の確保及び児童館機能の確保両面 からみて、対応が難しい状況がうまれました。その対応として、小学校内学童の設置や、民間学童クラブの助成という手法で数を確保してきています。
まずは、小学校29校に対し、児童館21箇所プラス学校内3、民間3で27箇所、このギャップを埋めたいと考えています。
●5年目を迎える多様な学童保育のあり方への成果について:

・多様な運営形態に基づいた切磋琢磨が期待できるとして導入された学童クラブの民間業務委託ですが、導入から5年を迎えて新宿区の児童館・学童クラブ間でどのような切磋琢磨があり、どのような成果が得られたのか教えてください。

(子ども家庭課からの回答)
まず、事業内容としては、利用時間の延長実施が大きな点ですが、その他の質の面のお尋ねだと思いますので、お答えします。
提案内容の中では、事業者により、人数の加配しているところもあります。
事業内容に対する保護者からの要望では、第一に現在の内容の継続性を求められており、事業者もそれに応えようとしていると思います。 その他にも、地域との連携、活動内容など提案の実現に努力されていると認識しています。
また、委託導入館では運営協議会を組織し、地域の人や保護者、利用者と意見交換・運営についての協議、アンケートによる毎年の評価など、ブラッシュアップしています。
指導員の人材としては、小学校や・幼稚園教諭、児童施設職員経験者で、子育ての都合などにより一度家庭にはいられた方、児童福祉とは別の仕事に転職後再度 子どもに関わる仕事につきたいという意欲をお持ちの方、教員志望の若い方など多様であり、多様な視点で子どもを見ていると考えています。
区職員 の実施する児童館・学童クラブと切磋琢磨していくには、お互いの評価を共有するツールがいりますが、これまでは、質の面で両者を比較するツールがありませ んでした。今年度から、委託館だけでなく、それ以外の館でも、利用者アンケートを実施する予定です。この結果を分析に今後のお互いに高めあう運営に結び付 けていきたいと考えています。
以上

2006年9月29日 学童クラブの事業・計画に関する要望

新宿区福祉部
部長 石崎洋子 様

学童クラブの事業・計画に関する要望

平成18年9月29日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 片岡 宏子

日頃は子どもたちの健全育成にご尽力いただいていること感謝いたします。
19年度には、戸山小内学童クラブの新設や省我保育園併設の学童クラブの開設など、増館に当たる対策もとられていることは評価しています。しかし、現在で もかなり無理をして受け入れていただいている館も多いです。共働きの増加、子どもたちを取り巻く環境の悪化などに伴い学童クラブへの入所希望は今後も増加 していくと思われます。今後は学校等の施設を活用し、全児童対策を含めた検討もすすむでしょう。
その状況の中で学童クラブの事業・計画に関する以下のような要望を提出いたします。関係部署でご検討いただき、誠意ある回答をいただきますようお願い申し上げます。

要望

●子どもたちの居場所作りとしての全児童対策の拡充は、大事なことです。しかし、小学校内の全児童対策の居場所に、既存の学童クラブを無理に入れるようなやり方はとらないでください。

19年度から全児童対策を全部の小学校区で進めるとの厚労省、文科省の一致した方向が出されています。児童館を含めた子どもたちの居場所作りとしての全児童対策の拡充は、大事なことだと思います。
しかし、他の自治体でかなり行なわれている、新設された小学校の全児童対策の居場所の中に、既存の学童クラブを無理に入れるようなやり方はとらないでください。
他区や他の自治体では、全児童対策に無理に入れている例がかなり見られ、子どもの人権を無視したようなあり方も見られます。具体的な一つの例としておやつ のことがあります。一般の子たちと同じ場に入れられるため、おやつは一般の子たちが帰ったあとの午後5時すぎに希望者だけという形がほとんどです。ある区 では、「腹がへったら水をのめ」の言葉が子どもたちの間でかわされているそうです。
私たちは、おやつは低学年の子どもたちにとって必要な補食と考えています。低学年の子たちが集まる場です。中でも1年生は一度にたくさん食べられないので、昼の給食は食べきれないのに3時ごろにはおなかがすく子がかなりいます。食いだめのきく大人とは違うのです。
おやつ一つをとっても保育に欠けるからこそ学童クラブは別の事業として必要なのです。一緒にして一般の子たちに合わせられる悪平等な扱いでは、子どもたちの生活の場としての学童クラブが維持できません。それは親が安心して働けない、子育てできないことにつながります。

● 業務委託館の質の維持を業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。今後の業者選定について企業系業者に偏ることなく、社会福祉 法人、NPOなど幅広い選択肢を実際に用意してください。委託が行われている館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、委託業者 と定期協議などを通して館の運営に指導力を発揮してください。また安定した質が維持されるよう区としてどう改善させるか踏み込んだ対応をしてください。

民間業務委託が審議された区議会の委員会では、与野党問わず委託後の質を維持するのは行政の責任であるとの意見が出されました。その通りだと思います。
しかし企業系の業者が委託を受けた西新宿では、3月から引き継ぎの準備保育を行なった職員が全員やめてしまって、4月には全く別の職員でスタートするなどごたごたが続き、ほぼ2年間、安定しないトラブルが続く学童クラブになってしまいました。
早稲田南では信頼されていた指導員がソシアルワーカーとして残り、NPO職員の努力もあっていい児童館・学童クラブが運営されてきました。しかし、今年度 になってからほとんどの職員がほぼいっせいにやめる事態が起こっています。私たちが委託への不安を感じていたことがそのまま現れています。
職員 が次々に変わるような状態は正常ではないです。その状態を区としてどう改善させるのか踏み込んだ対応をしてください。受託業者へ払われたお金が職員の安定 雇用のために使われているかどうか、無理な運営ですぐに辞めてしまう、やめざるを得ない雇用条件となっていないかなどを監査するぐらいは必要なことだと考 えます。
19年度からの委託業者の選定に当たって、選定委員に保護者の代表も入れるように改善されたことについては評価しています。
しかし実際の選択肢が非常に少ないとすれば、せっかくの制度が生かされません。これまでの業務委託に社会福祉法人は一つも来ていません。幅広い選択肢を実 際に提供するのも行政の質の維持のための努力だと考えます。どうしても狭い選択肢しかない場合には委託を見送るとか、委託の仕方や内容を変えることも検討 されるべきだと考えます。
西落合や百人町では学童クラブ業務のみ委託され、児童館はこれまでどおり区の職員にという計画のようですが、これまでとは違う形態であるのは見直しと考えていいのですか。説明してほしいです。

●学童クラブは単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への子どもたちの成長を支援する場でもあります。子どもたちの意識変化に対応し、質の高い保育をめざす研究と意見交換の場を年1回程度連協と開いてください。

今年5月の要望の中で同様の要望を出させていただきました。区からの回答の中で、「父母の会、職員それぞれが研鑽を積む中で適宜意見交換の場を設定していくことも有効であると考えています。」と答えていただきました。
質についての意見交換・勉強会についても前向きに受け止めていただきありがとうございます。いろいろな形のものを導入し、切磋琢磨してレベルアップしてい くことが大事との区長のご発言はその通りだと受け止めています。私たち保護者もレベルアップして一緒に事業に取り組みたいと考えています。
新宿区内で児童館・こども館・学童クラブ事業にかかわるワーカーズコープ・デイケアセンター・省我会・エイビイシイ・フロンティアキッズクラブ・区福祉部・児童館指導員・保護者それぞれから、子育てにかける思いを出せる場を作れればと思います。
学童クラブ・児童館・子ども館に今求められる質と機能についてオープンな研究と意見交換の場を一緒に作るためにぜひ参加していただきたいです。
(以上)

2006年4月21日 学童クラブの利用調整及び学童クラブ事業・計画に関する要望

新宿区長 中山弘子 様
新宿区福祉部 部長 石崎洋子 様

学童クラブの利用調整及び学童クラブ事業・計画に関する要望

平成18年4月21日
新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永聡美

新宿区福祉部子ども家庭課が、平成18年度から導入を計画していた、待機児もやむなしとの学童クラブの利用調整の実施について、私たち連協の意見・要望を 受け入れていただき、待機児童を出されなかったことは評価しています。また要望していた増館の一つとして戸塚第2小学校内に学童クラブを新設していただく ことになったことも評価しています。
ただ18年度については、当面の対策として乗り切ることができるようですが、共働きの増加、子どもたちを取り巻く環境の悪化などに伴い学童クラブへの入所希望は今後も増加していくと思われます。
その情勢の中で学童クラブの整備・充実は緊急の課題だと思われます。以下のような要望を提出いたしますので、関係の部署でご検討いただき、誠意ある回答をいただきますようお願い申し上げます。


要望
● 学童クラブの存在は単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への総決算の時代と捉え、発達・学習・自 他の認識を含めた成長を促す場であることを念頭においた、質の高い保育をめざしてください。そして、そのための研究と意見交換の場を連協もまじえて作って ください。

●新宿・学童クラブ行政の誇りは、待機児童を出さなかったことです、その政策を堅持してください。

●福祉部子 ども家庭課が平成18年度から実施されようとした「利用調整について」h17.12の施策は、矛盾のある学年調整指数見直しなど問題が多いので正式に撤回 してください。そして今後の運用に当たっては、特に新1年生の入所が不利になることのないよう配慮してください。

●業務委託館の質の維持 については、業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。業者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOな ど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われている館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮 してください。

●高田馬場第2学童クラブの定員オーバーの改善として戸塚第2小学校内に学童クラブを新設されますが、高2との連携での運用など不安も残っています。正式な提案をお願いします。

●学童クラブの定員を見直した館については、改修や運営の見直しに関して、父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築していくことを要望します。

●平成19年度から下落合に新設される民設民営のせいが学童クラブを中落合学童クラブの定員オーバー対策とすることには疑問があります。一般児との交流の保障や学童クラブ費の設定などについて区としてどのように指導されているのか教えてください。

●定員オーバー館の急増を放置せず、増館やいきすぎた選択制の見直しなどの具体化をしてください。

●個人情報保護の行き過ぎた解釈をあらため、父母会との連携をすすめてください。

要望の理由

● 学童クラブの存在は単なる共働き家庭の子どもたちの放課後の居場所ではなく、心身共に成長著しい幼年期から少年期への総決算の時代と捉え、発達・学習・自 他の認識を含めた成長を促す場であることを念頭においた、質の高い保育をめざしてください。そのための研究と意見交換の場を連協もまじえて作ってくださ い。
親たちの子育て力の低下の中で、子どもたち一人一人のケアが必要な時代になっています。そのためには子どもたちの心の叫びをつかむアンテナ機能を持つことが求められています。
また新宿区の児童館では必ずと言っていいほど、問題をかかえた中高生が、自分の居場所を求めてきて、大人である指導員や小さい子たちとのふれあいの中でいやされ、育ちなおしている姿が見られます。
こんな時代だからこそそんなことも支援の場にもなっている児童館・学童クラブの機能が再評価されなければなりません。地域の子育て力を育てるために、今までの公設公営での経験を評価し受け継ぐべき内容は伝え合う努力を行政がすることが大事です。
その意味で、公設公営の職員、委託事業者、早稲田フロンティアキッズなどの独立事業者や連協なども含めた研究会を設け、児童館・学童クラブのあり方について交流しあい区長の言われる切磋琢磨を具体化することが大事だと考えますが、いかがでしょうか。

●待機児を出して来なかった新宿区の学童クラブ事業の堅持
新 宿区には現在22の公設学童クラブがあり、これらは基本的に児童館に併設されています。それぞれの学童クラブは施設のスペース状況に合わせて定員が定めら れています。しかし、ここ二十数年にわたって新宿区の学童クラブは、定員を超える申し込みをすべて受け入れてきました。
新宿区の学童クラブの歴史 の中で、長い間、待機児を出さなかったことは新宿区の誇るべき実績であり、新宿区の学童クラブが、子どもを安心して任せることができるものであることの証 でもありました。新宿区の児童行政がこれまで通り、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの安全を第一に考えていただき、待機児を出さない政策を堅持していだ くことを要望します。

●福祉部子ども家庭課が平成18年度から実施されようとした「利用調整について」h17.12の施策は、矛盾のある学年調整指数見直しなど問題が多いので正式に撤回してください。
私たちは利用調整を認める立場には立ちませんが、子ども家庭課の、18年度の「利用調整について」h17.12の施策では、ポイント制を採用、これに伴い学年調整指数を撤廃するとされました。
学 童クラブは、低学年ほど利用の必要性が高いのは当たり前のことです。これを撤廃することは、1年生でも待機児となるのはやむなしとの方向性を打ち出したも ので、私たち保護者は絶対に受け入れられません。実際の運用では、1年生を排除するような運用はしないと答えられています。
問題の多い「利用調整について」h17.12の施策は、正式に撤回していただくようお願いします。そして運用に当たっては、特に新1年生の入所が不利になることのないよう配慮してください。

● 業務委託館の質の維持については、業者任せにせず、行政として責任を持って維持改善をはかってください。企業系の委託業者の問題点が出ていると思われます が、どう考えていますか。業者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOなど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われて いる館のソーシャルワーカーは児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮してください。
学童指導業務の民間業務委託が導 入されるときに、連協としては質の低下につながるのではないかと考え、慎重に検討してもらうよう陳情書として提出しました。その陳情を検討した区議会の委 員会では与野党問わず、「保護者が心配している質の低下について、質を維持していくのは行政の責任だ」と発言していただきました。しかし現実はどうでしょ う、たとえば西新宿ではこの2年間に9人も担当職員が辞める事態になっています。安心してあずけられる状態になっていません。業者任せにせず、行政として 責任を持って維持改善をはかってください。
早稲田南や榎町を委託されているワーカーズコープでは、ほとんどそのようなことはなく、企業系の委託業者の問題点が出ていると思われますが、どう考えていますか。
業 者選定については企業系業者に偏ることなく、社会福祉法人、NPOなど幅広い選択肢を用意してください。また、委託が行われている館のソーシャルワーカー は児童とのコミュニケーションを十分に計り、館の運営に指導力を発揮してください。ソーシャルワーカーのかかわり方が各館によって違いがありますので、明 確な指針の提示と運営をお願いします。

●高田馬場第2学童クラブの定員オーバーの改善として戸塚第2小学校内に学童クラブを新設されますが、高2との連携での運用など不安も残っています。正式な提案をお願いします。
戸 塚第2小学校内学童の職員体制や戸塚第2小学校内での学童クラブ児が利用できる範囲、学童クラブ行事スケジュール、土曜日の高2学童との合同保育など父母 の間ではどうなっていくのか不安があります。戸塚第2小学校内学童発足にあたっては、父母会との話し合いをしながら進めてください。

●学童クラブの定員を見直した館については、改修や運営の見直しに関して、父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築していくことを要望します。
すでに改修が始まっている館やこれからの館もあると思われますが、かなり無理な見直しをされている部分もありますので、もっと父母会を中心にした利用者の声を聞きながら具体的な対策を構築してください。

● 平成19年度から下落合に新設される民設民営のせいが学童クラブを中落合学童クラブの定員オーバー対策とすることには疑問があります。他の館で行なわれて いるような一般児との交流の保障や学童クラブ費の設定などについて区としてどのように把握・指導されているのか教えてください。
せいが学童クラ ブを運営されるせいが会については、子どもたちの成長をどう進めていくかのきちんとした理念を持った社会福祉法人だと理解しています。ただそのことと、中 落合学童クラブの定員オーバー対策としてせいが学童クラブをとすることには疑問があります。他の館で行なわれているような一般児との交流の保障や学童クラ ブ費の設定などについて区としてどのように把握・指導されているのか教えてください。
早稲田フロンティアキッズ学童クラブが今の学童クラブの代わりになれるものではないと、区議会の委員会でも発言があったように、代わりにならないものへ行くことを行政がすすめて、同じような混乱が起こらないようにしてほしいと考えています。

●定員オーバー館の急増を放置せず、増館やいきすぎた選択制の見直しなどの具体化をしてください。
昨 年も同様の要望をさせていただきました。今年4月の在籍数と比べてもらえば分かりますが、昨年4月が922人、しかも例年の予想をさらに上回り6月時点で は960人をこえる状態になりました。今年の登録数はついに1082人になりました。マンション建設が進んでいる地域も増えており、さらに増館が必要で す。
また全体として学童クラブ間の数のアンバランスも拡大しています。それは小学校への選択制の導入によって引き起こされていると思われます。小学校の説明資料に学童クラブの案内も入れてもらい、バランスの取れた人員になるような選択肢も提案してください。
今後とも学童児は増えていくと思われますので、増館や選択制の見直しなど総合的な対策を今立てていく必要があると思います。教育委員会と連携を深め対策を講じてください。

●個人情報保護の行き過ぎた解釈をあらため、父母会との連携をすすめてください。
昨年ほどの過剰な反応は今のところ見られませんが一部の館では、中途での退館者名を教えてくれなかったりしています。これは個人情報保護の行き過ぎた解釈だと思います。
退 館者には父母会費の返却など父母会としての手続きも必要です。父母会と館はさまざまな行事での協力関係にあります。その関係は子どもたちの成長する環境を 作っていくために大事なものだと考えています。もっと発展させるため、ギクシャクした関係にならないように運営いただき、父母会との連携をすすめてくださ い。

(以上)

2005年11月 学童クラブの利用調整計画に関する陳情

この度、新宿区福祉部子ども家庭課が、「学童クラブの利用調整」の導入を計画していることが明らかになりました。これは受入れ目安をオーバーした学童クラブの児童に、他の学童クラブへ移ることを要請、これを受け入れない児童は「待機」させるというものです。

これまで新宿区の学童クラブは、定員をオーバーしてもすべての申込み児童を受け入れてきました。これは遠方の学童クラブや、友達のいない学童クラブに調整 されてしまい、結局学童クラブに行きたがらなくなってしまった児童、つまり「結果的なかぎっ子」をつくらないという、新宿区の学童クラブ事業の優れた点で した。

この度の「受入れ調整」制度は、この優れた点を破棄し、「かぎっ子が出るのはやむなし」という、方針の反転を意味するものです。これはもちろん、新宿区が標榜している「子育てしやすい町」「こどもに優しい町」というモットーに反するものです。

連絡協議会としては、この施策を到底受け入れることはできず、新宿区議会で十分審議していただこうと陳情書を提出しました。

以下に、その全文を添付します。

新宿区議会 議長
小畑 通夫 殿

学童クラブの利用調整計画に関する陳情

新宿区の学童クラブについて、新宿区福祉部子ども家庭課が、平成18年度から導入を計画している学童クラブの利用調整の実施について、議会で慎重に議論を していただきたく、ここに陳情させていただきます。なお、本件に関して詳細な説明や意見の開陳が必要な場合は、よろこんで議会に出向させていただきますの でご連絡いただけますよう、お願い申し上げます。

陳情の趣旨

● 福祉部子ども家庭課が平成18年度から導入を予定している、学童クラブ利用調整計画の撤廃を要望します。

● 学童クラブの定員オーバー問題に関しては、利用者の声を聞きながら対策を構築していくことを要望します。

陳情の理由

● 定員オーバーを受け入れてきた新宿区の学童クラブ

新宿区には現在22の公設学童クラブがあり、これらは基本的に児童館に併設されています。それぞれの学童クラブは施設のスペース状況に合わせて定員が定め られています。しかし、ここ二十数年にわたって新宿区の学童クラブは、定員を超える申し込みをすべて受け入れてきました。
これは、定員オーバー によって希望の学童クラブを利用できなくなった児童が行き場を無くし、「かぎっ子」化することを避けるためであり、その結果、新宿区の学童クラブは他区に 例を見ない、思いやりのある先進的な児童行政を成し遂げてきた、と地域で子育てをする保護者として理解しています。

● 新宿区が導入を計画している学童クラブの利用調整とは

ところが、平成16年度実施の区立小学校の選択制度により、小学校の規模の差が広がり、これに伴って学童クラブも人数の集中するクラブと、しないクラブの 差が顕著になりました。高田馬場第二学童クラブは定員70名へ97人が在籍、一方、西新宿学童クラブは定員40名へ16名の在籍となっています。

このような状況を踏まえ、新宿区福祉部子ども家庭課が平成18年度から導入を計画している学童クラブの利用調整とは、①「各学童クラブへ『定員』とは別に 『受入れ目安』という概念を適用する」、②「受入れ目安を越える申込みがあった学童クラブでは、これをオーバーした児童へ近隣他館を利用するように協力依 頼する」、③「協力依頼を受け入れない児童は、これを待機させる」というものです。

● 結果として「かぎっ子」を生み出す施策

利用調整をしている児童施設として保育園があります。保育園では保護者が送り迎えをするために、やや遠方の保育園に調整されたとしても、児童には影響がな いと言えるでしょう。ところが、学童クラブでは、児童が自分で自宅と小学校と学童クラブの間を移動します。保護者は学童クラブを選択するとき、自宅・小学 校・学童クラブの位置や距離、友達関係を踏まえて検討するわけです。

このように学童クラブの児童は、距離的にも、精神的にも、自宅・小 学校・学童クラブという関係の中で生活しているのです。これを尊重してあげなくては、児童は安定した放課後生活が過ごせなくなります。ところが受入れ調整 の結果、遠方の学童クラブに通うことになってしまった場合、児童は毎日、長距離の移動を余儀なくされます。さらに、そこは同じ小学校の友達がいない学童ク ラブでもあります。
行きにくい学童クラブに通うことになった児童は、「学童クラブに行きたくない」と言い出す可能性が大きくなります。その結 果、ある児童は放課後を大人に保護されない環境で過ごす、「かぎっ子」になります。学童クラブの利用調整は、このように結果的に「かぎっ子」を生み出しや すくする施策であるということが言えます。

● 柔軟性のある児童館内学童クラブ

一方で大幅な定員オーバーというのも、緊急に対策が必要な問題であることは明らかです。このことを考えるときに、「学童クラブの定員」と「児童館の定員」は同じではない、ということをまず理解しておく必要があります。
学童クラブ職員の人数という点から考えますと、これまで定員オーバーが20名を越えるごとに、1名追加配置することで対応してきました。またスペースの点 では、学童クラブは児童館の中に併設されており、児童館には一般の児童が学童クラブ児と共に遊べるスペースが大きくあります。このため、学童クラブのス ペースは基本的にかなりの柔軟性を持っているということが言えます。

● 小学校自由選択制に対処してこなかったツケ

福祉部子ども家庭課が指摘している大幅な定員オーバーによる問題点として、「児童館が学童クラブのための施設になってしまい、一般児が来にくくなってしま う」、「学童クラブの運営が、けがや事故防止に重点を置いた運営になってしまう」、「一般的に40人といわれている集団としての適正規模を超えてしまい、 個々の状況の把握や集団としてのまとまりをつくるのに支障がある」があります。いずれももっともな指摘です。しかし、これに対処するために「利用調整」と いう「かぎっ子を生み出しやすくする施策」を採用してもいいのでしょうか。

定員オーバー問題に対する最も基本的な対策は、小学校の状況 を把握し、学童クラブの新設も含め、適切に施設を配置することです。小学校の自由選択制を前に、状況予測が不十分で、対策が後手にまわったということを、 福祉部子ども家庭課は、まず認めるべきです。その不十分さから招いたものを「かぎっ子を生み出しやすくする施策」によって、児童を大人の保護から放り出す ことでツケを回すことは許されません。

● 利用者の望まない定員オーバー対策

定員オーバーという状況によって 不便を受けているのは、児童やその保護者です。では、定員オーバーが最も顕著である、高田馬場第二学童クラブの現役保護者は、そのことをどう思っているの でしょうか。「確かに定員オーバーは大きな問題で、区役所に対処をお願いしてきたが、待機児童を出すことになるこのやり方は受け入れることはできない」と の意見で一致していると聞いています。

おそらく区役所にとって待機児とは、利用申請を出して待機している児童のことを言うのであって、 利用辞退した児童は含まれないのでしょう。しかし、私たち保護者にとっては、学童クラブで安全に放課後を過ごして欲しいのに「行きたくなくなった」「行き にくいので行かなくなった」と言い出し、結果として利用辞退を出すことになってしまった児童も待機児なのです。

学童クラブに行かなくなり、家に帰っても保護者がいない児童が増えると環境が荒みます。

学童クラブの保護者は、過密な状況や先生の目が行き届かないという不利益を考えても、そんな結果的な待機児を生み出す施策に反対と言っているのです。それ は自分の子どもだけがよければいいのではなく、すべての保護が必要な児童に、それが適切に与えられているという健全な環境が、自分の子育てにも重要だと認 識していまるからです。

● 大幅な定員オーバーに、これまでどう対応して来たか

また、その他の保護者の中には「児童館内に学童クラブ室を別に作ったらどうか」、「小学校内学童クラブを新設したらどうか」などの意見もあります。
実 際に、これまで定員オーバー館では、施設の改修により学童クラブスペースを広げて対応してきました。富久学童クラブの定員オーバー問題に対しては、富久小 学校内学童クラブの新設が一定の効果を上げています。私たちは説明を受けていませんが、平成18年度から戸山小学校内に学童クラブが新設されるようです。 これは百人町学童クラブの定員オーバーに対応したものだと思われます。

このように、待機児童を出してこなかった、という誇るべき優れた新宿区の保育行政を撤回して、間違った方向へ第一歩を踏み出す前に、やるべきことはいくらでもあるのではないでしょうか。

● 実際に受入れ調整が行われた場合の問題点:高額な民間学童クラブ

高田馬場第二学童クラブは平成18年度97名の申込みが予測され、これに対して受入れ目安は80名です。つまり17名の児童が利用調整の対象になります。その17名は、具体的にどこへ行くように求められるのでしょうか。

近隣の学童クラブとしては、民間学童クラブの「早稲田フロンティアキッズクラブ」があります。ここの募集要項によりますと、利用料金が6,300円、入会 金10,500円、施設管理費(年間)10,500円、おやつ代(月間)2,625円とあります。公設公営である高田馬場第二学童クラブの利用料 6,000円(月間・おやつ代含む)と比べると、価格競争力がないことは明らかです。また、これは学童クラブだけの施設ですから、一般児である学校の友達 は来られません。平成17年度に高田馬場第二学童クラブからこちらへ移った児童は、一人もいませんでした。平成17年度の在籍児童は30名の受け入れ枠に 3〜4名程度だと聞いています。

利用調整によって高田馬場第二学童クラブの17名の児童は、これだけの料金を負担し、「早稲田フロン ティアキッズクラブ」を利用するように求められることになります。しかし、子ども家庭課の「平成18年度学童クラブの利用調整について」というペーパーに は、これらの料金格差に関する指摘や説明はありません。

また、行政が特定の民間企業へ、実質上利用者を斡旋・誘導することには問題があると考えます。

● 実際に受入れ調整が行われた場合の問題点:受け入れ先学童クラブの定員オーバー

それでは料金の問題で「早稲田フロンティアキッズクラブ」が利用できない家庭は、どこを利用するのでしょうか。子ども家庭課によると、早稲田南町学童クラブがもうひとつの調整先とのことです。
平成16年度に戸塚第一小学校から早稲田南町学童クラブへ通ってきていた児童が数名いました。しかし、1ヶ月以内に全員が利用辞退し、高田馬場第二学童クラブへ移って行きました。いずれも通うには距離がありすぎることが分かったとのことです。

さらに早稲田南町学童クラブには現在、定員30名を17名越える47名が在籍しており、受入れ目安の50名に迫っています。ここへ高田馬場第二学童クラブ の調整を受け入れれば、早稲田南町学童クラブも受入れ調整の対象になります。すると玉突き的に早稲田南町の数名が、榎町学童クラブへ移ることを求められる ことになります。
高田馬場第二からの児童は遠距離の行き来を強いられ、早稲田南町の児童は慣れ親しんだ学童クラブを移ることを余儀なくされま す。前記したように、このことが児童に学童クラブを精神的に遠ざけることになり、結果的に「かぎっ子を作ってしまう」ことになることが憂慮されています。

● 低学年に不利なポイント制、話し合いに基づく対策、保育園と同じく待機児を出さない決意

子ども家庭課によると、利用調整の対象児童を選定するに当たっては、ポイント制を採用、これには学年調整指数を撤廃するとのことです。これまで学童クラブ は、低学年ほど利用の必要性が高いとされていました。これを撤廃し、1年生でも待機児となるのはやむなしとの方向性を打ち出したもので、これは保護者の感 覚とは全く相容れないものです。

確かに、これまでにも近隣の学童クラブへの調整が行われたことがありました。しかし、その場合も利用者 との十分な話し合いと、納得に基づいて行われたものでした。今回の高田馬場第二学童クラブ父母会への通告のように、あたかも強権を発動するようなやり方 は、「地域との協働」や「子育てに優しい街」を標榜する新宿区としてはあってはならないことではないでしょうか。

中山区長は一貫して、保育園には待機児を出さないことを主張してきました。しかし、学童クラブに関しては新たに待機児を出す可能性のある施策を福祉部へ指示したのでしょうか。

近年の子どもをめぐる事件を見れば、保護が必要な児童の年齢は高くなっています。少子化であっても学童クラブ需要が増加していることから、このことが一般 的な保護者の認識であることは明らかです。保護が必要なすべての児童を受け入れる施策は、維持ないしは強化すべきものであって、方針転換したり撤廃したり するべきものではありません。新宿区は、保育園と同じように学童クラブにも待機児ないしは「結果的なかぎっ子」を出さない決意を持っていただきたいと思い ます。

● 新宿・学童クラブ行政の誇りは、待機児童を出さなかったこと

学童クラブの利用家庭は基本的に共働き ないしはシングルであり、昼間家にいないのが普通です。そのような家庭にとって、子どもを安心して任すことが出来て、子どもが安全に放課後を過ごすことが 出来る学童クラブは、なくてはならないものです。一方で、学童クラブの児童は、専業主婦のいる家庭の子ども、つまり一般の子どもの自由な生活にあこがれて おり、ちょっとした心の揺れで「学童クラブへ行きたくない」と言い出すものです。学童クラブの先生方は、そんな子どもの気持ちを汲み取って、楽しく安心し て毎日の放課後生活を過ごせるように、日々心を砕いてくれていることを、私たち保護者はよく理解しています。

新宿区の学童クラブの歴史 の中で、長い間、待機児を出さなかったことは新宿区の誇るべき実績であり、新宿区の学童クラブが、子どもを安心して任せることができるものであることの証 でもありました。新宿区の児童行政がこれまで通り、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの安全を第一に考えていただき、「結果的に待機児童・かぎっ子を作り 出してしまう」受入れ調整という施策を白紙に戻し、大幅な定員オーバーに対する根本的な対策を、利用者の声を聞くことによって再構築していくことを切に期 待しています。

なによりも、大幅な定員オーバーという不利益を日々受けている高田馬場第二学童クラブをはじめとする、その他の学童クラ ブの保護者でさえ、自分たちの不利益はさておき、新宿区の子どもたちから待機児が出てしまう可能性に深く憂慮し、この施策の実施に反対しているという事実 を忘れないでください。

(以上)

平成17年11月28日

新宿区学童保育連絡協議会
会長 松永聡美